ぶりっ子、前世を思い出す【鬼滅の刃】

ぶりっ子 ５ ページ7

＊
甘露寺 side





偶然立ち寄った甘味処に、しのぶちゃんの妹のAちゃんがいた。

何だかみんな、Aちゃんのことよく思っていないみたいだけれどAちゃんって誤解されやすいだけで、とってもいい子なのよ！

今日だってほら、いつもは相席なんてしてくれないのに椅子まで引いてくれたじゃない！


｢全然いいのよ？そんな事。
それよりもAちゃんに怪我がなくて良かったわ！｣

『……ありがとうございます』


ふわっと笑うAちゃんに胸がキュンとする。

Aちゃん、私に運んでもらったことを気にしてたみたい。そんな事、気にしなくていいのに……。

みたらし団子を飲み込んだところでAちゃんが口を開く。


『すごい量ですね……』


驚いたように目の前の和菓子の山を見つめるAちゃんに、まずい、と感じる。

そういえばAちゃん、私が大食いだってこと知らないのよね。もしかして……引かれた、かしら？


｢私、実は大食いなの。
こんな身体してるけど、筋肉の密度が凄いらしくて……たくさん食べないといけないの｣

『えっ、何それ羨ましい』

｢……え？｣

『……あ』



しまった、というように口に手を当てるAちゃん。

羨ましいってどういうこと……？
引かないのかしら……？



『その、私食べた分だけブクブク太ってしまう体質なので。その量の栄養が全部筋肉に行くのは羨ましい……と思いまして』

｢……引かないの？｣

『え、どうしてですか？』

｢前に、引かれたことがあるの｣



頭に過去のことがよぎる。

見た目に合わない食事の量、おかしな髪の色。
それを否定された時は、すごく胸が痛かった。


Aちゃんはどんなふうに感じるのか、気になってしょうがなかった。

ぶりっ子 ６→←ぶりっ子 ４

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す