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1話 ページ3

「ボーダー、か」


「どしたの急に」


ポツリとつぶやいた言葉。


窓の外から見える巨大な建物。界境防衛機関通称ボーダー。


「なあ、紡」


「ん?」


「ボーダー、入らね?」


俺はそう訪ねた。


父さんと母さんには猛反対されるだろう。


ここに居たのなら。


けど、もう居ない。無口な父さんも、過保護な母さんも。ここには現在(ここ)には、もう居ない。


「………」


この前の大規模侵攻で俺の両親は俺たちをかばって死んだ。


あまりにも衝撃的な光景に、俺たちは現実だと受け止めるなんてできなくて、


紡はそれからずっと泣き続けた。


紡ははっきり言ってボーダーをよく思っていない、と思う。


父さんと母さんを奪ったのはボーダーじゃないし、むしろ俺たちを助けてくれている。


それでも見るたびに思い出して悲しむんじゃ、そう思わずにはいられない。


紡は口をつぐんだままだ。


たぶん、反対するんだろう。


奔放な性格の割にどこか慎重なこいつの事だ。


きっと止める。そう、思った。


「いいよ」


「え」


返ってきた言葉に驚いた。絶対に止めると思っていたから。


「何その顔」


変なの。そう言って紡は眉根を寄せる。


「いいのか?」


俺は再度そう聞き返した。


「さっきからそう言ってる」


耳悪くなった?そう言い俺の耳を引っ張ってくる。痛い。夢じゃない。


「…ありがと」


口から出たのはそんな言葉だ。


「なんで?」


「…なんとなく」


それから2人で基礎学力・体力テスト・面接を余裕でクリアし、ボーダーの正式入隊日となった。


「は!?お前トリオン高くね??」


「斎低いねー」


「いやお前に比べたらだろ。それにお前言って俺とそんなに変わんないから!」

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レモンとみかん人(プロフ) - 木南じゃなくて、小南ですよ (2022年1月5日 9時) (レス) id: 89af934301 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也 - この小説面白いです続き、とても気になります 更新頑張ってください (2020年3月4日 15時) (レス) id: ea89e2c5ba (このIDを非表示/違反報告)
睦月(結心別垢)(プロフ) - EMIKOさん» ぜひぜひ!お待ちしてます!!ゆっくりで大丈夫ですので! (2020年1月4日 21時) (レス) id: 05707dd0b8 (このIDを非表示/違反報告)
EMIKO(プロフ) - ありがとうございます!描いたらTwitterに送りたいのですが大丈夫ですか? (2020年1月3日 9時) (レス) id: dbece56e65 (このIDを非表示/違反報告)
睦月(結心別垢)(プロフ) - syo_taさん» ドンピシャ…嬉しすぎますねそれは笑え、つTwitterも!?絡みましょうぜひ! (2019年12月31日 23時) (レス) id: 05707dd0b8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結心 x他3人 | 作成日時:2019年7月9日 20時

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