検索窓
今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:26,127 hit

ページ8

「お、落ち着いて、話せばわかる筈や、な!?」

壁に追い詰められ、凄い表情で蛇相手に説得を試みる鬱。

今鬱さんを助けられるのは自分だけ。

握った手が汗ばむのを感じつつ、辺りを必死に見渡すA。

このままでは彼が食べられてしまう!


「...あ!!」

鈍く光を放つソレが見えた。


でもこれって余計に興奮させるだけなんじゃ...

一抹の不安が脳裏をよぎる。

しかし、そんなことを言っている場合ではない。
目の前には今にも喰われそうなひとがいるのだ。

最善の方法を選ぶ時間など、A達には残されていない。


もう、どうにでもなれ!!


Aは重々しいソレを降り被ると、おもいっきり魔物の巨体へと叩きつけた。


蛇は勢いよく振り替えると、そのままAの目の前まで頭を近づけた。
鼻先がぶつかるというほどわずかな隙間しか、互いの距離はない。

手に持っていたはずの武器は、先程の衝撃で飛んでいったのか奥の方で鈍く光る。

蛇は一瞬目を細めたかとおもうと、大きく見開き、黄緑色に光らせた。

その瞬間、奥の方でドサリと落ちる音がした。

「く....魔法も使えるとか...反則や、ろ....!」

地面に張り付けられるように伏せる鬱。
口からは、苦しそうな呻き声が漏れるが、少しばかりもその体が動くことはない。

それを見て、Aはすぐに鬱の元へと駆け寄った。

「鬱さん!?…大丈夫ですか!?」

体をなんとか起こそうと体と地面の隙間に手を滑り込ませ、上へと力を込めるが、一向に進む気配がない。

まるで、全身が石になった様に堅く、重かった。

「…な…んで…………?」

鬱は驚きを露にしてAを見つめる。
こんな魔力すらも知らない女が、何であんな化けもんの"オーラ"に耐えれるん?
こんな状況でも、疑問を感じずにはいられなかった。

しかし、鬱はそれ以上に何か別の感情が沸き上がってくるのを感じた。

体内を何かが駆け巡り、あまりにも熱く、今にも血管が破裂するのではないか。体から漏れ出すような大きな拍動が耳まで届き、鼓膜に振動が響く。

なんや、これ。


こんなんしらん。

熱くなる顔を他所に鬱は考えた。

見捨てて逃げようとした自分を助けようとしている。今も心配そうに声を掛けてくれる。

ぶわり。更に熱く、心拍は加速した。



いや、違う。
これは、あの魔物に対して興奮と恐怖が止まら無いだけだ。きっと、そうなのだ。

絶対、そうや。

それ以外有り得ん。


だって、じゃないと




俺はあの女に

印→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (70 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
174人がお気に入り
設定タグ:wrwrd , トリップ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:myself | 作成日時:2021年8月10日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。