妖怪ウオッチ×ブリーチ異聞録続編

妖魔界へ(9) ページ9

白哉は何故か初めから一護を忘れているにも関わらず敵視していなかった。周りの隊長達は一護の言葉に耳すら貸さなかったのに。

そしてこの場に現れたのは、一護の言葉を聞いた後緋真の日記を読み、自分には確かにルキアという義理の妹が居ると、そしてその娘は愛していた今は亡き妻の忘れ形見だと確信したからだ。救いに来た一護の手を汚させるくらいなら、自らの手で始末を付けようと駆け付けたのだ。

だが白哉にやらせたら間違い無くルキアを殺めてしまう。必ず助けるから此処は任せてくれと白哉に告げ、縛道を破壊しながら抜け出したルキアに斬月を構えて向き直る。

方法は一つ。あの時のように、斬月をルキアに突き立てて躰に直接死神の力を叩き込むしか無い。失敗すれば、間違いなくルキアは虚に成り果ててしまうだろう。

ダッ！

両者は地を蹴り駆け出す。互いの獲物を手に近付いていく。

初めてルキアに死神の力を授かった時の記憶をよぎる。

(ルキア「死神ではない。朽木ルキアだ」)

(一護「俺は、黒崎一護だ！」)

ルキア？「死ねえぇぇーっ！」

一護「目を覚ませルキアーっ！！」

そして…！

ドスッ！！

ルキアを抱えるように天鎖斬月の切っ先をルキアの胸に突き立てる。そのまま彼女の躰に斬月を握ったまま死神の霊力を流し込んだ。

カアァァ…！！

霊力が眩い光を放ちながら拡がる。次の瞬間、虚の服が弾け散り、ルキアは死神の姿に戻った。虚の魂は、悲鳴を上げながら消滅していった。

姉弟は融合が解け、傍らに倒れていた。一護は二人の傍に行ってやれとルキアに促した。ルキアは二人に駆け寄ると、大丈夫かと語りかけた。只、二人は弱々しく躰を動かしたが、明らかに生命力が小さくなっていた。戦いの消耗では無い。

ケータ「ま、まさか…その時にルキアさんの記憶が全部戻ったんですよね。其れって…！

ジバニャン「取り込んでた虚が消えたから、虚の力を使ってた記憶を奪う術が解けたのかニャ？つまり！」

フユニャン「そうか、その二人は本来なら、虚に斬られた時に死ぬ筈だったんだ。其れが、虚をルキアを守るために取り込んだ事で図らずも生き延びた。つまりは、虚の力で命を繋ぎ止めていたんだ。其れが消えれば、どうなるかは火を見るより明らかだ」

そう、二人は元の屍に戻ってしまうのだ。

ウィスパー「だから、名前を付けてやるとルキアさんに言われた記憶を戻すことを躊躇ったんですね。その記憶は自分達が虚に斬られた記憶に直結します。下手をしたら、」

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