妖怪ウオッチ×ブリーチ異聞録続編

妖魔界へ(8) ページ8

(回想)

一護は焦り始めた。ルキアの瞳が黒く濁り、躰から瘴気を放ち始めたのだ。早くしなければ、彼女は虚に変わってしまう！

何とかして動きだけでも封じなければ…！だが一瞬の隙を突かれ、彼女の姿は視界から消えた。空間に身を隠したのだ。慌てて辺りを見回す。だが、この時ルキアは一護の真後ろに回り込んでいた。ハッとした一護が目を向けた先には、ルキアが今しも鎌を振り下ろさんとする姿が見えた。不味い、斬られる！

しかしその時

？「縛道の六十一・六杖光牢！」

バキッ！

ルキアの躰が縛道に絡め取られ、彼女はそのまま悲鳴を上げて横倒しに倒れた。

ギャアアアーッ！

ルキアと姉弟の声が重なって響く。

ルキア？「何者だ！」

一護「白哉！？お前いつの間に！」

何と、白哉が立っていたのだ。ルキアを寂しそうに見ている。彼には、ルキアの姿が彼の亡き妻緋真(ひさな)と重なって映る。

似すぎているのだ。赤の他人ならばまず有り得ぬ程。

当たり前だ。ルキアは緋真の実の妹なのだから。

一護は白哉の屋敷にコンと共に忍び込み、仏壇に飾られた緋真の写真を見ていた時現れた白哉に言った。

一護「この写真の人、緋真さんだろ？ルキアによく似ているな。あの時(白哉に前の戦いで話を聞いたとき)言ってただろう？ルキアの姉さんだって」

緋真はルキアの姉だった女性だ。現世でまだ赤子だったルキアと共に死に、流魂街に来た。

だが、彼女達が来た地域は特に貧しく、霊力の有った緋真は空腹を耐えきれず、やむなくルキアを手放してしまった。その後白哉に見初められて朽木家に妻として迎えられた。

生活の不自由の心配から抜け出した緋真は、ルキアを探しに出向いたが、この時には、すでに彼女は重い病に掛かっており、無理がたたり遂には起き上がることさえ困難になり、病の床で、気遣う白哉に遺言を伝えたのだ。これは彼女の日記にも記してあった。

自分には、流魂街に手放してしまった幼い妹が居る。名はルキア。自分はもう長くない。図々しい頼みだが、私が死んだら、出来るなら妹をこの館に引き取り、人並みの幸せを与えてやってはくれないか。

但し、貧しさを言い訳にしたとは言え妹を捨てた自分には姉を名乗る資格は無い。もし願いを聞き入れて貰えるなら、自分の事、即ち緋真という姉が居た事実をルキアには明かさず、妻に面影が似ていたから引き取る事にしたという事にして欲しい。幸い妹は自分に似ているから、と。

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