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あれよあれよと車に乗せられ、もう10分。
あまりにも突然の別れに頭が追いつかないし、悲しむ暇すらもなかった。
施設には後でお詫びの連絡でも入れておくか…
それにしても_____________。
(…………この人、ずっと私を見てるな…)
先程から、隣に座っている尾喰さんがずっとこちらに視線を向けてきているのだ。
私は窓の外を眺めて気を紛らわしているが、人の気配に敏感な身体になってしまっている。落ち着かなくてムズムズする。
前世では鬼を前にして戦う事が多かったからな。気配を探る訓練もよくしていた。
………。仕方ない。
『あの、どうかなさいましたか』
私は思い切って尾喰さんの方を向いた。
凜「…うん?ああ、もしかして視線が鬱陶しかった?ごめんね」
『……?い、いえ……大丈夫ですよ。』
凜「よかった」
彼は柔和な声を出して微笑んだ。
でも________何故だろう。愛想のいい反応である筈なのに。
どこか違和感が拭えない。
彼の笑みにはどこか裏を感じる。
それが少し怖くなり、家に着くまで一言も発する事が出来なくなった。
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作者名:サナ | 作成日時:2022年1月8日 22時