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*異変 ページ27

『お客様にお願い申し上げます。ただいま、一部設備の不良により、一時的な停電が起きています。早急に原因を確認しておりますので、お楽しみのところ誠に申し訳ございませんが……』


観覧車が止まって間もなく、付属のスピーカーからアナウンスが流れてきた。
やっぱり、停電か……
外を見ていると、間もなく頂上に着くあたりで止まっている。
結構ありがちな事故とは言え、流石に頂上で止まってくれるなんてこと、ないか……

この緊急時に何を考えているんだか、ボクは。


藍「とんだ災難だ。けど、すぐに復旧するだろうから、大人しく待ってよう」


我ながら随分呑気だとは思う。
けど、実際のところ、現時点でボク達にできることは何もない。
これ以上の事故を防ぐためにも、大人しくしているのがベストだと思う。
そう思って、ボクはAの方を見る。
すると……


藍「A?」


暗闇の中で、Aは膝を抱えて震えていた。
寒いの……?
……いや、この様子は違う。
まさか……


藍「怖いの?」


この程度のアクシデントで動揺するタイプじゃないと思ってたけど……
それに、“怖い”なんて感情、まだAは知らない筈……
でも、目の前で震えている彼女から窺えるのは、紛れもない、恐怖だった。


A「っ……エイ、イチ……」


震える体を抱き締めながら、Aは小さく声をもらした。

エイイチ……鳳 瑛一……
彼女の、事実上の兄の名前……

その名前が出た瞬間、胸の奥がチクリと痛んだ。
なんで、このタイミングで……?


A「暗い……怖い……エイ、イチ……」

藍「……A」


震えながらうわ言のようにそう言うA。
ボクはとてもじゃないけど見ていられなくて、そっと彼女を抱き締める。


藍「しっかりしなよね。こんなことで怯えるなんて、キミらしくもない」

A「やだ……暗いのは、怖い……ねぇ……エイイチ……!!」

藍「ここに彼はいない。呼んだって来ない。とにかく落ち着いて。しっかりして」


優しい言葉なんて、まだボクはかけてあげられない。
怯えてる相手に対して、随分冷たい言葉だとは思う。
慰め方なんて、ボクにはまだわからない……
これが、精一杯なんだ……
せめて……


藍「……ボクが、いるから……」


そう言って、Aの頭を撫でる。
Aも最初こそ怯えて震えていたけど、徐々に落ち着いてきたのか、震えも止まり、気づけば目を閉じて大人しくなった。

スリープモード、かな……




.

*“誰か”の声 −夢主side−→←*観覧車の中で



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設定タグ:うたプリ , QUARTETNIGHT , 美風藍   
作品ジャンル:アニメ
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美紀 - 美風藍ちゃんの小説最高です藍ちゃん大好きです (2019年1月31日 11時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
十九 雷音(プロフ) - 逆巻椿さん» コメントありがとうございます!初のサーヴァンプキャラいただきました!!←集計終わり次第検討させていただきます!! (2017年4月13日 2時) (レス) id: c9d99963ee (このIDを非表示/違反報告)
逆巻椿(プロフ) - SERVAMPとうたプリのコラボで藍ちゃんか真昼落ちがいいです!更新頑張ってください!! (2017年4月13日 0時) (レス) id: 11d835f287 (このIDを非表示/違反報告)
十九 雷音(プロフ) - 桜乃さん» コメントありがとうございます!!藍ちゃんか翔ちゃんですね!検討させていただきます!そして今後も拙いながらも頑張らせていただきます!! (2017年4月9日 21時) (レス) id: c9d99963ee (このIDを非表示/違反報告)
桜乃 - うたプリ単体がいいです!落ちは、藍ちゃんか、翔くんで!!えと、更新ん頑張ってください!!!!! (2017年4月9日 19時) (レス) id: 9ed75b4815 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:十九 雷音 | 作成日時:2017年1月1日 21時

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