*交換条件 ページ33
スタジオを出て、しばらく歩くこと数分。
蘭丸が足を止めたのは、1階にあるロビーのような場所だった。
A「蘭丸……?」
蘭丸「ここで待ってろ」
A「へっ?」
私の言葉を遮るように、蘭丸はそう言った。
思わず間抜けな声が出てしまう。
蘭丸「お前にとって家族の話題はタブーだろ?また真っ青になられても困るからな。収録が終わるまで、ここでじっとしてろ」
A「一人で?」
蘭丸「他に誰もいねぇだろ」
A「……やだ」
蘭丸「あ?」
A「一人で待ってるの嫌だ。スタジオの中にいる」
わがままを言う子供のように頬を膨らませて、精一杯嫌だということを訴える。
すると、蘭丸は盛大なため息をつき、私のおでこを小突いた。
A「いたっ……」
蘭丸「お前はガキか。もう成人してんなら一人で待つくらいできんだろ」
A「だって退屈なんだもん。蘭丸と一緒がいい」
蘭丸「お前……ほんとにガキか。実年齢いくつだよ」
A「二十歳です」
蘭丸「聞いてねぇよ」
まるで、駄々をこねる子供と父親のような会話。
わがままを言ってるのは充分わかってるけど、反面、こうして思いっきりわがままを言えることが、少し嬉しくもあった。
小さい頃は、わがままなんて言わせてもらえなかった……
いや……言おうものなら、その後が地獄だったから……
蘭丸「ったく……なら、こうしようぜ?」
蘭丸は二度目のため息をつくと、仕方ないなと言わんばかりにそう言った。
私も何かと言わんばかりに首をかしげて、次に来る言葉を待つ。
蘭丸「収録が終わるまで一人で待ってられたら、仕事が終わった後はお前の好きなことさせてやる。よっぽど無茶なこと言わねぇ限りは、なんでも言うこと聞いてやるよ」
A「なんでも?」
蘭丸「あぁ。ただし、その後で俺の要望も聞いてもらうぜ?それでもいいなら……」
A「待ってる。私ここから一歩も動かない」
蘭丸「……お前、プライドも何もねぇだろ」
なんでも好きなことをさせてもらえる。
その言葉に私は即行で意見を変えた。
だって、ちょっと我慢すれば、後は蘭丸と一緒にい放題だもん。
そんな私に、蘭丸は“仕事、全部終わんの夕方だぜ?”と言ったけれど、私はそれでも構わないと返した。
その言葉に、蘭丸は半分苦笑いが混じったような笑顔を浮かべると、頭をぽんっと撫でて、スタジオへ戻っていった。
その背中を見ながら、私は心の中で“行ってらっしゃい”と手を振った。
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まな - 私はうたプリでは主にカルナイ(特にカミュと蘭ちゃん)と翔ちゃんとなっちゃんとトキヤと音也と...でもなっちゃんは本当によく出ますww←なんか最近トキヤと翔ちゃんと藍ちゃん上がってます← (2015年8月18日 22時) (レス) id: ceaa2bc4f1 (このIDを非表示/違反報告)
まな - RUIさん» シュウさんですか?!私も1つ買った時にまさかのレイジ様出てきてビックリしましたよwwクリーム色みたいでシュウさん可愛いですよね〜私のシュウさん運は衰えを知らないみたいです(⌒-⌒; )今度オタマートでシュウさん出すのでお知らせしますよ! (2015年8月18日 14時) (レス) id: ceaa2bc4f1 (このIDを非表示/違反報告)
十九 雷音(プロフ) - RUIさん» いえいえ大丈夫ですよ!!私もあまり最近更新できていなくて申し訳ないです(>_<) (2015年8月18日 13時) (レス) id: abb4063eb2 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 十九 雷音さん» すいません!4時~半はちょっと用事が出来てしまったので、五時半ぐらいに顔出します!本当に、すいません。 (2015年8月18日 13時) (レス) id: 53c9c73951 (このIDを非表示/違反報告)
RUI(プロフ) - 十九 雷音さん» 最近忙しくて来れませんでした。今も、ちょっと顔出しただけなので、また4時~半ぐらいに来れるので、またその時にお話しましょう! (2015年8月18日 12時) (レス) id: 53c9c73951 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十九 雷音 | 作成日時:2015年6月13日 1時