月夜 百七十一夜目 ページ12
「俺が……あいつと似ているだと……？」
予想外の言葉に、Playmakerは動揺する。
「うん。まぁ正確には少し違うんだけど……。
なんというか、将来が想像できない？っていうか？目的を達成したら、そのままぽっくり逝っちゃうような……？
……んー、うまく言えないけど、なんかそういう危なっかしさがあるんだよね」
「……。」
「だから、マスターの未来のためにも、似たもの同士である君をマスターに参考にしてもらおうと思ってさ。
……ってことで、話戻すよ。ハノイの騎士への復讐が終わった後、君は何をしたいのかな。何かやりたいこととかない？夢とか希望でもいいよ。」
「……」
「色々とあるんでしょ？学生だったら青春を謳歌するー、とか。社会人だったら結婚するー、とか。人間の未来は描きたい放題だ。
幸運なことに、私達みたいに未来の路が定まってる訳じゃない。
さぁ、教えて。君が描きたい未来はなんだ。」
その問いかけに、Playmakerは答えることができなかった。
ずっとハノイを追いかけてきた。
10年前に途切れた人生をもう一度繋ぎ直すために、10年前の真実を追い求めてここまで来た。
だが、ハノイをどれだけ追い詰めても、10年前の真実に近づいても。
その先にあるはずの未来が描けない。
「……わからない。」
考えて、考えて。
ようやく絞り出した一言がそれだった。
その返事に、アテナは「うーん、マスターと同じこと言ってらぁ」と困ったように笑う。
【あぁ！？なんだよ、なんか悪いのかよ！まさかお前も財前みたいに『復讐はやめて普通の生活に戻れ』とかいうんじゃねぇだろうな！！】
「言うわけないじゃん。別に私は復讐が悪いとは思ってない。むしろ復讐を薦めた側だからね。口が裂けても言えないわ。」
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作者名：瑠伊亞 | 作成日時：2022年12月7日 20時
