【遊戯王VRAINS】闇に紛れた月Ⅳ (ページ18)

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月夜百三十九夜目ページ18

あ、でもこれが気に入らないなら別の名前を用意するね。何が良い？』

「……分かったわ、エクリプス、ね。それじゃあ、エクリプス。五個目の質問よ。私に貴女を植え付けたのは誰？」

『うーん、残念ながら、何でかは知らないけどそこまで情報が開示されてないんだよねー。でも、わたしが君の記憶を奪ったのは確かだし、わたしは君でないのは確かだよ。

だから、早くわたしの存在を消して君の中から消してわたしの存在を無に返してねえお願いだから早く！はやく！！』

「落ち着きなさい。貴女があるかもしれなかった私だというのなら。六個目の質問行くわよ。

……貴女は何をそんなに焦っているの？」

『……焦ってなんか、ないけど？』

「あら、そうかしら。私から見たら、私らしくもなく十分焦ってるように見えるんだけど」

『だーかーら、わたしは君じゃないの！いい加減にしてくれない？もうっ、質問コーナー終わりにしちゃうよ？』

ケーキスタンドを引っ付かんで倒そうとするエクリプス。その手を未月は思いっきり掴んで握りしめ、カフェテーブルに縫い止めた。衝撃でティーポットが倒れ、バシャリ、と真っ白なテーブルクロスを赤く染める

『……何のつもり？』

「全部の質問に答えるまで、私は貴女を逃がさない。まだ、此処からの脱出方法も聞いてないしね」

『そんなの、わたしを消せばすむ話じゃん』

「どうしてそんなに私に貴女を手に掛けさせようとしているの？私からすれば、貴女の言い分は違和感だらけよ。それに、聞きたいことはそれだけじゃない。どうして私の記憶を奪ったのか、そしてどうして貴女は私に植え付けられているのか。……いいえ、それだけじゃないわね。さっきから何回も呼んでいるのに、どうしてアテナ達が応じてくれないの？この空間が完全な貴女のスペースなら分かるけど、元はと言えば此処は私のスペースだったのでしょう？

……貴女、アテナ達に何をした？」

紫水晶のような瞳が、まるで剣のように冷たく刺さる。それはまるで、New Moonの時のような鋭さを持っていた
そんな視線の先のエクリプスは変わらず張り付けたような笑みを浮かべている

真っ赤な瞳の奥でぐるぐると回るナニカが瞳に写った紫の瞳と溶け合って、絵の具をありったけぶちこんだようなパレットのようになっていく

「答えろ、エクリプス。何故お前は、私を此処に連れてきた？」

『……それ、は』

『君に、わたしを殺して貰うため』