月夜 百三十八夜目 ページ17
『どーするー？どーするー？わたしを【ピーッ】す？【ピーッ】す？それともバラバラにして細切れにしてハンバーグにしちゃう？いいよー、わたしは一切抵抗もなにもしないから！』
「待って。整理をさせて。
……貴女が、私の記憶を奪ったの？」
『そう。だから君にはわたしを消す権利がある。いやー、精霊ちゃん達の守りは案外固かったからねー、君を此処に連れてくるのにかなり手間取ったんだよ。でも、君の復讐をお手伝いするためだから、全然苦じゃなかったよ！じゃ、答えたからわたしの存在を消して！』
「だからちょっと整理させろ言ってんだろがそんなに言うなら逆にお前を消さない」
『あっ……ごめんなさい……』
ーーno side
暫くして、ソレのテンションが大分落ち着いて来た頃を見計らい、未月は口を開いた
「それじゃあ、一個ずつ質問してくから答えなさいね」
『ほーい！』
「一個目。此処は何処？」
『わたしのプライベートルーム。……ま、元は君の場所だったんだけど、六年前から此処を使用させてもらってるんだ』
ま、つい最近までは此処を更に小さくした小部屋に閉じ込められてたんだけど。ほら、密室の中の密室みたいに。とソレはケーキスタンドから鷲掴みして取った真っ黒な物体を頬張りながら答えた
「二個目。貴女が、本当に私の記憶を奪ったの？」
『うん。君が言う、六年前以前の記憶、その全てをね。でも、奪った、というか奪わされた、というのが正しいかな』
ソレは真っ黒な物体を頬張り終わると、今度は真っ赤なドロリ、とした液体が入ったティーカップに口をつけたが、ソレはうえっ、マッズ。と小さく呟いて、カップの中身を床に捨てる。真っ白な床に、真っ赤な液体が広がった
「三個目。貴女が、バクソーサラー使いなの？」
『ピンポンピンポーン！そうだね、わたしが君の偽者さん、ということになるのかな。……あ、あの時は本当にゴメンねぇ。いやあ、久々の外だったからさ、君が君であることをすっかり忘れていたんだ。でも、もう大丈夫だよ、君がわたしの存在を消せばすべて解決だ！』
「話をすり替えない。……四個目。貴女の名前は？」
『あ、無視しちゃう？ま、いいよ。……そうだねぇ。簡単に自己紹介だけでもしちゃおうか。
わたしは君に植え付けられたもう一人の君。あるかもしれなかった、未来の君。
本名を名乗ると面倒臭いし、第一そもそもわたしが自分の本名好きじゃないから、“エクリプス”って呼んで』
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作者名：瑠伊亞 | 作成日時：2019年5月18日 21時
