六十三、実行犯 ページ19
*
「崎見修治検察事務官……」
「なんだ、驚いたの? ……いや、そんなわけがないね。お前は予測はしていた筈だ」
「……ええ」
「彼女の一番近くにいるその男が、君の幼なじみのスワンプマンだったわけだ。
彼女はさぞ驚くだろうね、信頼していた相棒が真逆殺人犯の一味であるどころか、『元』自分の父親だったなんて」
乱歩は深い森の奥のような緑の目を細め、手にした棒付き飴を眺めた。
「……彼の頓智は全く面白くないよ。太宰、お前もそう思うだろ?」
「ええ、乱歩さんまったくもって同感です。彼女が『パンドラ』で、能力が【パンドラの匣】だなんて。
……笑えませんよ」
「世界一の名探偵である僕でも、
その男が成長した娘のそばに行き、事件を起こした目的を看破することは出来ても、
理解することは全く出来ないね。したいとも思わないけど!
特に彼の頓智なんざ、くだらなすぎて解説する気にもなりゃしない!」
腹の立つ“黒幕”だよ、と呟いて、彼は腰掛けていた椅子の背もたれに寄りかかる。
太宰はその様子を見つめながら、「では」とおもむろに口を開いた。
「……“実行犯”は、矢張り【匣】の副班長ですね?」
「それしかないね。なんせ死んでる筈の班長の方がクローンになってるのに、その右腕が行方不明だなんてきな臭過ぎる」
「副班長の異能は、瞬間移動か何かでしょう?」
「ああ。【匣】副班長……名前は青山光二、異能力名__【修羅の人】。
お前の云う通り、瞬間移動の異能力者だ。いろんな制約はあるにはあるんだろうけど、そんなこと僕は興味無いね!」
「私もです。知りたかったのはあくまで異能力の概要ですから」
早い話が、班長であった崎見修治__恐らくこれは偽名で、容姿は整形だろうが__が、
副班長に指令を出して【匣】にかつて所属していた者を殺して回らせたのだ。
簡単だ。異能力者ならば、殺人事件もすぐに迷宮入りとなる。現場不在証明なんて何の意味もなさない。
そして検察事務官として検察庁にいたAの『元』父親が殺人の指令を出しやすい人物、そして捜査を比較的自由に調整できる人物。
そう考えるとすると____。
「消去法で……Aの上司の支部長というところでしょうか」
「間違いないだろうね。彼しかいないだろ」
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さにー☆彡(プロフ) - りささん» 互いの『最優先』を尊重する、あるいはこの2作の内容全てといったところでしょうか…(文法に違和感を覚えるのはそういうものとして御海容下さいませ…) (2021年5月18日 11時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
りさ - 最後のところの『それ』って何なんでしょうか? (2020年5月18日 16時) (レス) id: 486a37f744 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - ゆきさん» ありがとうございます!!設定や中身まで楽しんで頂けたようで何よりです!! (2019年7月31日 18時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 設定、話の内容、文才、全てが素晴らしくて、読んでいてとても楽しかったです。作品様すばらしいです…!!ありがとうございました。 (2019年7月31日 17時) (レス) id: e69c1b6ddb (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - ゆずみかんさん» ありがとうございます……!!主人公がやばくてすみません……!こいつ大丈夫かと何度も思われたことでしょう申し訳ない← こちらこそこの作品を最後まで読んでくださりありがとうございました!!コメントすごく嬉しかったです…! (2019年6月6日 8時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sunny | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年9月7日 14時