42話 ページ43
見つけちまった、というのが最初に考えたことだった。
チャンスは今しかないはずなのに、緊張して声が出なくなる。
冷たい態度を取られたら、と考えるだけで怖い。
けど、話したくて、顔を見たくて…うずうずしている自分もいる。
ふと、先輩がこちらを見た。
ばっちり、目が合う。
ヤバ。
「あ…、Aせんぱ、「黄瀬くん!」え?」
重なった言葉にマヌケな声を発してしまう。
先輩は笑顔のままこちらに走ってきて、「よかったー、会えて」と言う。
状況を飲み込めないオレに、先輩は少しはにかんだようにダークブラウンの箱を渡してくれた。
「先輩…これ」
「バレンタイン!手作りだよ!味は陽介保証だから大丈夫!
渡したかったんだけど、教室に行く勇気はなくて、どうしようかなって思って」
「オレに、くれるんスか?」
「うん」
ああ、やばい。感激だ。
あわててポケットからお守りを取り出すと、先輩に差し出す。
「あの、包とかにいれてなくてすみません。これ、合格祈願のお守りッス。
先輩、明日受験ですよね?」
「え、嬉しい!ありがとう、黄瀬くん!!」
目を輝かせて喜ぶ先輩に、ほわっと胸が温かくなる。
同時に、やっぱり意識はしてくれてないんだ、という苦い痛みが胸に広がった。
「…先輩、あの時…すみませんでした」
「え?」
「その…事件があった日、オレ、先輩に」
恐る恐る先輩の顔を見る。
彼女は、ほんのりの顔を赤くしながら、少し寂しそうに首を振った。
「大丈夫、黄瀬くんは慰めてくれようとしたんだよね?」
「…え、と」
「勘違いなんてしてないよ。ちゃんとわかってるから」
先輩が言ってることがどういうことなのか、一瞬わからなかった。
そして、やっと意図を理解した時…本気でオレはムッとして、言った。
「勘違いしてほしいッス」
「え?」
「オレ、先輩が好きなんスから」
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さにー☆彡(プロフ) - 鈴香さん» ありがとうございます!続編も書けたら書きたいとは思っているのでその時はよろしくお願いします! (2019年10月2日 20時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
鈴香(プロフ) - とてもキュンキュンさせて頂きました!!面白かったです!続編楽しみにしてますね (2019年10月2日 20時) (レス) id: 433bf9ff90 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - あまくろさん» あらま!ありがとうございます!! (2017年6月10日 6時) (レス) id: ec1d0032bb (このIDを非表示/違反報告)
あまくろ - とても面白いですね!それから、9話の緑間っちが、緑町っちになっていました... (2017年6月9日 21時) (レス) id: d3b08ce942 (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - さにー☆彡さん» 時間旅行も海常編の続編も楽しみにしてます!! (2017年4月11日 11時) (レス) id: 5e68c6ec4a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:sunny | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2016年12月7日 21時