【黒子のバスケ】先輩、振り向いて下さい【黄瀬涼太】

22話 ページ23

「う〜…」



やっぱり英語はともかく、他の教科がヤバいッスね…。


オレは頭をかきながらシャーペンを動かす。


ただでさえモデルの仕事で授業にあんまり出てないから、余計わからない。



陽介君が持ってきてくれた紅茶(めちゃくちゃ美味い)を飲みながら、先輩をちらっと見る。


先輩はベッドによりかかりながら、社会のノートを見ていた。



「どうしたの、黄瀬くん」


「ここ、どうやって解くんスか？」


わからないところを指し示して問うと、先輩はノートを置いて、問題集を覗き込んだ。



「次の図の△ABCと△PQRが合同なことを証明しなさい…かぁ。


結構発展問題だね。じゃあヒントから行こうか」



発展問題、と言いながら、先輩は即座に正解への道を編み出したらしく、にっこり笑う。


ここには延長線をひいて、こことここが…と説明してくれるんだけど、


ヤバい、もうどこがわからないのかすらわからなくなってきたッス。



「あーもう！なんでわざわざ合同の証明なんかしなくちゃならないんスか！？


最初から同じ図形だってわかってるなら、いいじゃないッスか！」


「あはは、そうだねー。でも数学ってそんなものじゃない？


点Pはどうして動くんだとか、山田くんと佐藤くんはどうして池の周りを回るんだとか、


いちいち考えてたらキリがないよ？」


「う…そうッスけど…」



唇を尖らせると、先輩は再び微笑んだ。


心臓がとくん、と鳴る。



「もう一回説明するから、もう一回やってみよう？ね、黄瀬くん」

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