3話 ページ5
「.......なにそれ。助けてもらっておいて死にたかったなんて、クソガキにも程があるんじゃないの?」
そう言って蛇神は少女の髪を掴み無理やり顔を上げさせる
「もういきたくない!こ.ろして!こ.ろして!」
少女の大きな瞳からはらはらと大粒の涙が溢れて痩けた頬を伝って落ちる
「おやめください!せなさん!そんな かみのけ を ひっぱって は いたいです!」
そう桜の少年は せな と呼ばれた蛇神の腕にしがみついた
少女が泣いているのは蛇神に髪を掴み上げているからだと思っていたからだ。
「.......ねえ。アンタさなんでこんな山奥来たの。誰に連れてこられたの。」
蛇神は未だに嗚咽する少女の髪をそっと離し少女にそう問いかけた
でも少女は泣いてばかりで何も答えようとしない。
「何か言ったら?泣いてばかりじゃ、理由すら分からないし。そんなんじゃ殺.せない」
俺も一応神様だからねぇと少女の顔を覗き込んだ
すると少女は体を捻らせて後ろを向いた
「あっちょっと、答えなってば!」
蛇神が肩をつかもうとしたその時に少女ははらりとボロボロの着物を脱いで背中の痣を蛇神に見せた
「.......うまれつき の あざ の せい で、かがちさま の のろい を うけた "いみこ" だって いわれて、いけにえ で つれてこられたの」
「すごいです。せなさん と よくにた うろこ のような あざですね」
「.......忌み子.......ねぇ。」
蛇神は大きくため息をついた
「今の時代に人身御供なんて古臭いったらありゃしないねぇ。酷な事言うようだけどアンタ、それ生贄じゃなくて捨てられたんだよ。」
「すて...られ.......」
「そうそう。捨てられたの。空き缶を池に投げ捨てるみたいにポイっとねぇ」
蛇神の言った言葉に当たり前だと、分かりきったことだと思っていたのに少女はまたはらはらと涙を流し、胸が締め付けられる感覚を覚えた。
「せなさん!ひどいです!」
「だって本当のことでしょぉ?.......それだけ人間ってひどい生き物なんだよ。」
分かったならかさくんもそんな人間早く見捨てなよ。
そう蛇神は吐き捨てて泉の中に戻って行った
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作者名:ゆなり | 作成日時:2019年6月4日 22時