鳳は必死:★ ページ15
氷帝学園の文化祭は学校が学校なだけに規模も相当である。模擬店、クラスでの出し物、有志団体、いろいろなチームが忙しなく校内を走り回っている
そんな中、人混みに紛れた1角で困り果てていた私。
「LINE交換しようよ」
「いやあ……はは」
背中には壁。目の前の相手は他校の生徒で、巧妙にも私に逃げる隙を与えてくれない
「いいじゃん、交換するだけ、メッセージ返すかどうかはそっち次第だから」
「うーん」
逆上されても困るのでなるべく刺激しないよう、断固拒否の姿勢は取らず曖昧にはぐらかしていた私だったが、相手もナンパにおいては百戦錬磨らしく上手いこと誘導されてしまった。そろそろマズイ
キョロキョロ辺りを見渡しても友達らしき人はいない。イコール助け舟は期待出来ない
「お願い、ね?」
詰みを悟った私の腕がそっと触られたその時、その男の腕をさらに掴む手が視界に見えた
「辞めてください」
聞き慣れた声に顔を上げればそこには鳳君。途端に安心感が全身を駆け巡る
「わっ」
そのまま有無を言わさず私を引っ張る彼に従った。ちょっと待て、そんな声が後ろから聞こえた気がしたが男が後を追ってくることは無かった
彼と早足で校内を歩く。
階段の踊り場まで来ると鳳君はそこでやっと私から手を離した。
「はぁ……本当、良かったです」
「ごめんね、助かったよ」
私のYシャツに出来てしまった皺を申し訳無さそうに伸ばす鳳君。手を合わせて何度もお礼を言えば苦笑いで首を振られた
「いくらでも助けに行きますよ。けどあんまり絡まれないでくださいね、Aさん無防備だから」
「うん?気をつけるね」
「はい、そうしてください」
少し解せない気もしたが、残りの時間を一緒に回ってくれることになった鳳君が居ればもう安心だろう。
出発時、はぐれないように彼の裾を摘んだ
「ぶっちゃけ、来てくれたのが鳳君で良かったよ」
失礼な話だがもしもこれが跡部くんだったら間違いなく注目の的になっていたであろうし、ああやって穏便に終われたのはやはり鳳君の人柄の賜物だろう。
素直な気持ちを要約して伝えれば、鳳君は間も無く頭を抱えてしまった。
何か呆れさせることを言っただろうか
「そういうの、期待しちゃいますから……本当に」
「……?」
壁に手を付いて何かに耐える鳳君を前に、ただひたすら首を傾げていた
鳳は必死
「ああもうっまた絡まれてる!」
「はは、行ってやれ長太郎!」
535人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
光華(プロフ) - 逆からのやつ感動です!!柳君だからこそできることかな?神ですね! (2021年3月11日 21時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
Haruka Ö(プロフ) - 逆から読むのは凄すぎました!!! (2020年1月27日 23時) (レス) id: 0d992502c1 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 逆から読むのがわからないです…。理解力なくてすみません!!気になるので誰か教えてください! (2020年1月7日 13時) (レス) id: 2a82e997d1 (このIDを非表示/違反報告)
佐和(プロフ) - はじめまして。ろちこさんの作品にはまってます。がっくんのプロポーズ、笑いました。からあげwww逆ハ話も好きですが、誰か個人落ちの話をもっと読んでみたいです。更新頑張ってくださいm(._.)m (2019年8月18日 0時) (レス) id: 892b8d0726 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - ゼクシィじゃねーのが面白すぎたので日常会話で積極的に使っていこうと思います(^ω^) (2019年7月10日 19時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ろちこ | 作成日時:2018年4月17日 2時