俺たちの恋愛事情【黒バス】

心配したけど損はしてない ページ9

嫌な予感というものはたまに引くほど的中することがあると思う。おは朝の結果も相まって間違いなく今日はAさんにとって不幸な日となった。

「千鳥チャン大丈夫！？」
「花宮テメェ！今のわざとだろ！」
「やだなぁ、単なる事故だろ？」

ひっくり返るベンチと足を抑えてへたり込むAさん。駆け寄る選手と憤慨する選手。堂々と無罪を主張する霧崎の花宮

中断された試合を上から眺めおおよその検討を付けた。

うっわ。Aさんブチ切れじゃないスかあれ。

試合中、まさか狙われると思わなかったAさんは事故と称され一回りは体格の違う相手選手と縺れ合い、転倒した。担架で運ばれていく姿に隣のコートの緑間っちが目に見えて動揺し、怒りを露わにする伊月さんは監督さんや日向さんに宥められておりそれはもう見事に悲劇の縮小図が完成している。

桐皇の方の客席を見ると若松さんが動き出していて、だったら俺も行かなければと足を動かした。

「失礼しまーす、Aさん大丈夫っスか？」

間抜けな声で救護室へ入室するとそこには案外元気そうなAさんがいた。どうやら付き添っていたらしい降旗くんに会場に戻るよう説得をしているようだがどうも渋られているらしい

「俺が見とくんで、大丈夫っスよ」
「……け、けど」

「はい千鳥サン、ココア買ってきたっスよ」

「……ありがとう」

素直にココアを受け取るAさんはやはり顔に深い影を落としていて、客観的に見ればその表情は選手に迷惑を掛けてしまったことへの罪悪感と受け取れる。

が、俺から見れば一目瞭然、

「さ、行った行った！誠凛はまだ試合中っスよ！」

「うお……わ、分かったって。じゃあ千鳥チャン先輩、俺戻るんで何かあったら電話してください！」

ガチャン。

閉まったドアを確認したAさんは舌打ちを一つ。ココアの缶が軽くべコリと音を立てた。あっれおかしいなそれスチール缶……

「ハナミヤコロス」
「ああやっぱり」

素晴らしい般若面でそう謳ったAさんは罪悪感云々ではない、完全なる霧崎の花宮殺したいよモードへと突入していた。入れ違いで入ってきた若松さんが状況を察し、安堵も程々に吹き出した

「おいノロマA、あんなの避けろっての」
「うっさい！」

「……歩けんのか？」

「タカオのリアカーに乗るかアンタの背中に乗るか考え中よ」
「高尾のリアカーがオススメだな」
「ねえおんぶ」
「話を聞け」

外のブザーが試合終了を物語る。さあどっちが勝ったのか、

花宮真の供述→←そして不安は募る

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