最後の言葉 ページ27
「他人がどう略したかは知らないスけど、俺なら普通に愛してるって言うっスよ」
そうすれば呆れたように呟くAさん。
「そこまで聞いてないわよ……」
相も変わらず夜風は冷たいが、この時間は驚く程に居心地のよいものだった。
「じゃあAさんだったらどうやって訳すんスか？」
Aさんが小皿にまとめてもってきたオードブルを摘みながら尋ねる
「受け身の私が愛を語るなんてすると思う？」
「……確かに」
帰ってきた返答は本当にAさんらしいものだった。意外性の欠片もない。この人と出会ってからは毎日が驚きの連続だったが、この人に恋をしてからは毎日が再確認の連続であった。
どう考えてもやっぱりこの人が好きで、どう考え直してもそれは揺るがなかった。
「それにしても」
「……？」
息継ぎをしたAさんを見て息を呑んだ
「本当に、月が綺麗よね」
「……っ、スね」
綺麗なのはアンタだろ。
そう出かかった程に美しい微笑み。細められた目がこんなに魅力的だなんて思わなかった
「アンタ、まだ私のこと好きなの」
「……本当にデリカシーとかないッスよね」
「私に何求めてんのよ」
雰囲気は間違いなくその方向性だった。
「好きッスよ」
意を決して気持ちを伝えれば言霊の威力を思い知った。顔が、熱い。本当に急に来た。なんだこれ恥ずかしい。そんな俺の様子にクスクスと笑うAさん
「天下のモデル様が良い気味ね」
「ハリウッドに進出するまで偉そうには出来ないッス！」
誤魔化すように声を上げればまたAさんは笑った。本当にこの人には振り回されっぱなしだ
「ま、せいぜい精進しなさいよ」
俺の気など知らずに、立ち上がるAさん。ああ、行ってしまうのか、ただ部屋に戻るだけなのにまるで今生の別れのように切なく感じた俺を夜風が優しく撫で回す
「精進、するッスよ。絶対」
言い放つと同時に、言い聞かせた。Aさんからの返事は無かった。そうやってさっさと俺を置いてくところ、本当に嫌いっすわ
ギシリと、床板が軋む。
「キセ、あのね」
もう誰もいないと思ってやさぐれた俺の両肩に置かれた手と、耳元に伝わる吐息
…………
………
ついでとばかりに捨て台詞を囁いたAさん
その言葉にあれだけ綺麗だと絶賛していた月が、
もはやそれ以外も
「もう、霞んでなんも見えないっスよ……馬鹿野郎」
視覚も聴覚も何も分からなくなって
ただ一つ、摘んでいた唐揚げの美味しさが冬空の下で広がった
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ろちこ(プロフ) - 鎖月零さん» ありがとうございます!!あともう何話とおまけまで書き上げてますので最後までお付き合いください……！！本当にいつも支えてくださりありがとうございました！！泣きながらアップしますね…… (2018年2月28日 6時) (
レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)
鎖月零(プロフ) - またしてもコメント失礼します…！も、もう少しで恋愛事情も終幕なんですね（泣）もう本当にすっっごく面白くてネタもそうですが、恋愛入ってきてからは千鳥ｻﾝも可愛いしキセもかっこよいしで悶絶しまくりです。ラストスパート泣きながら読みますね…！ (2018年2月27日 14時) (レス) id: e5c976073b (このIDを非表示/違反報告)
ろちこ(プロフ) - 妄想女子さん» わわわ！ありがとうございます!!大好きなんて嬉しすぎます！！もう少し続きますのでどうか最後までお付き合い下さればと思います (2018年1月3日 10時) (レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)
妄想女子 - とても大好きです！面白いので続いて欲しいです！頑張ってください！ (2018年1月2日 23時) (レス) id: c57f70d9fe (このIDを非表示/違反報告)
ろちこ(プロフ) - 鎖月零さん» あああありがとうございます！！ここからは恋愛描写しか入れませんので悪しからず笑ジャンケンは不参加が身のためです!!ww私も零さんが好きすぎてつらい！ (2017年12月23日 16時) (レス) id: 7838910af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろちこ | 作成日時：2017年9月28日 8時
