【d!】傾国の天使。 (ページ16)

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１６△ 口を開けば囀りの様にページ16

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　頭を抱えたコネシマにアントネラはふふんと笑う。
「まあ私可愛いですもの、狼狽えるのも仕方ないわ」
「⋯⋯クッソ、否定出来ひんのが悔しい」
　コネシマの言う通り、否定出来ないぐらいにはアントネラの顔の造形は整っている。椅子に縛り付けられようが、そのか弱そうな顔からは想像出来ない力で組み敷かれようがやはり美しいものは美しいのだ。揺るがない真実だ。

　だけど、とアントネラは言葉を続けた。

「コネシマさんはそれはそれはもう美形よ」

　アントネラの嘘偽りのない表情にコネシマは少し頬を桃色に染めて苦笑いする。
「⋯⋯初めてそんなん言われたな、俺に一生縁のない言葉やと思っとったわ」
「(きゅうううううん)」
　何よその子犬みたいな表情は！！とアントネラはコネシマに胸キュンズキュンした。
　さっきまで嫌そうに顰められた表情は何処か照れていて嬉しそうだ、褒められ慣れてないのがよく分かる。

「⋯じゃあ、例えばやけど俺のどこが格好良い？」
　もじもじと乙女のように聞いてくるその様子にアントネラは尊いと言わんばかりに泣きそうだった。

「そんなのもう！太陽に照らされた海のようにキラキラと輝く青い瞳もくらっときちゃうぐらい素敵、すっと筋の通った男らしい高い鼻も食べちゃいたいぐらいカッコイイですわ、普段はへの字の唇も照れたり嬉しくなったりすると犬歯が覗くのも胸が苦しくなるぐらい好きね！あ、あと男らしい汗の匂いとそれに混じるほのかに香る石鹸の匂いも好き！！他にも抱き締められたらきっと安心するような健康的な身体付きも⋯ってコネシマさん聞いてらっしゃる？」
　オタク特有の早口でコネシマへの褒め言葉を捲し立てるアントネラにコネシマはもうやめてくれと言わんばかりに手のひらの甲で口を覆い隠して、顔を真っ赤にしていた。

「あら、照れちゃいました？」

　にんまりとまるで分かっていたかのように悪どい笑みを浮かべるアントネラにコネシマも悔しそうにしている。

「⋯⋯言葉、だけならいくらでも言えるやろ？」

　そしてそんなコネシマから出た苦し紛れの言葉にアントネラはきょとんとしたかと思えば、にんまりと笑う。
　そして「じゃあ、コネシマさんが満足するまで私のことを好きにするってどうかしら」と意味深に唇を舐めた。

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