【d!】傾国の天使。 (ページ15)

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１５△ 魔性の乙女ページ15

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「眼鏡！？！！コネシマさんっ眼鏡かけてるんですか！？ヤダかっこいい！！好き！！結婚しましょう！？」
「ホンマにこの女どうしよ⋯⋯」
　ガタガタと縛りつけられた椅子の上で頬を赤く染めて大興奮のアントネラにコネシマは頭を抱えた。心做しか顔色が悪い。それでも箍(タガ)の外れたアントネラはお構い無しだ。

「それよりなんで私を縛り付けてるかしら？あっ、やだ！！もしかしてそういうプレイッ！？」
「違うわ！！！お前が俺を隙あらば押し倒そうとするからやろ！！！どっからその力出てんねん！！」

「まあ、乙女を怪力扱いですの！？酷いわあ！」
「今更取り繕ったって遅いわ！」

　とんとんと交わされる会話にコネシマはベッドに座り込むとはァーーー……と深い溜め息をついた。きょとん、としているアントネラにコネシマはそっと近付く。
「……お前なあ、何が目的知らんけどこの国の奴らに色仕掛けは意味無いしやめとけって。この国に居んのは女にトラウマがある奴ばっかや、その軽率な行動で死ぬのはお前やぞ」
「じゃあコネシマさんが守ってくれればいいじゃない」
　なんて傲慢で自分勝手な言動なのだろう。おかしな事に、それを言い放った張本人の顔は至って真剣でコネシマはぐるぐると思考を巡らせる。

　そしてコネシマは何を思ったのかアントネラの頬にそっと手を当てたのだ。

「⋯⋯俺に触られてどう思った？」
「どきどき、してるわ」

　恥じらう乙女のように涙の膜で目を潤ませて、見上げるアントネラ。相も変わらず自分の顔を使うのが上手い彼女は擦り寄るように媚びる猫のようにコネシマの手に頬を寄せた。
「コネシマさんは私に触れてどう思いましたの？」
「⋯⋯変な奴やと思った」
　この時、ようやくコネシマはアントネラが本気で自分をかっこいいと褒めているのだと知った。

　たったそれだけの真実に気が付いただけで、コネシマは目の前にいる女が可愛く見えた。
　本気で好かれているのだと知って、嫌うほど出来た男ではないのだ。

　華奢な身体、女を表すような曲線を描いた身体付き、小ぶりで桃色に染まった愛らしい唇、すっと筋の通った鼻、不安げに揺れるローズクォーツの瞳、鈴の鳴るような声、全部が全部愛らしく見えてくる。

「⋯⋯あ〜〜、なんか、お前、ホンマにヤバいな」

　魔性すぎる、とコネシマは自分の頭を抱えた。

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