【d!】傾国の天使。 (ページ12)

今日:32 hit、昨日:120 hit、合計:1,708,031 hit

１２△ 暇ならば扉を開けばいいじゃないページ12

.

　────いや、暇すぎじゃなくて？

　入国を認められてから一週間とちょっと、私はチーノの部屋に上がり込んでいた。私はゴロゴロと寝っ転がってるだけ、食事から家事までチーノが何でもしてくれている。何よこのヒモ感。

　私はイケメンとキャッキャウフフしたくてこの国に居るのに肝心のチーノは全く手を出してくれない。
　チーノの嫌がることはしたくない私はもうガン見することしか出来ない、据え膳がすぎるわ。

　いやでも、絶対にチーノは私の事好きな筈なんだ。なんでだよ欲の思うままに襲って！？好き放題して！？って誘惑してるはずなのにチーノは無反応。どうしましょ、もしかしてチーノって不能だったりするの？有り得ないわ、私のチーノよ？ないわね。

　問題はその！！肝心のチーノが！今仕事で部屋にいない！！という事は観察対象がいないって事、暇にも程があるわ。

　部屋に出るのは危ないから控えてくださいって言われたけど
「わたくし大人しく出来る女じゃなくってよ⋯⋯！」
　───そう呟いてチーノの部屋から出たその瞬間、私はそれみろと言わんばかりに大きな影とぶつかった。

　見覚えのある石鹸と汗の匂い、男の汗の臭いは嫌いじゃない。むしろ大好き。男らしくて、もしそれに抱き締められたなら私はきっと夢心地ね。

「まあっ、コネシマさんっ」
「ゲッ⋯⋯」

　嫌そうに顰められた端正に整ったその顔はやっぱりイケメンだった。

　抱いて。

.