【d!】傾国の天使。 (ページ11)

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１１△ 総統室の談話ページ11

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　コンコン、と部屋の扉からノック音が聞こえる。アントネラに握られた手を見つめていたグルッペンは静かに「入れ」と入室を許可した。
　入ってきたのは長身の豚の被り物をした男だった。男は総統の右腕にして書記長のトントン、入室するなりすぐにドカッ、とソファーに座り被り物を脱ぐ。そこに現れたのは切れ長な目に彼の真面目さを表すような七三分け、何処か知的に見える赤縁の眼鏡を掛けている。

　きっとこの世界の人間なら彼を見てあまりの醜さに倒れていただろう、逆の意味でアントネラなら大興奮で倒れていただろう。そう、その珍妙な被り物は彼の醜さを隠す為の物だった。

「⋯⋯女が入国したってホンマなん？」

　トントンは低く唸るような声で仮にも上司であるグルッペンに問う。グルッペンはまるで分かっていたかのように肘をついてトントンに目を向けた。
「ああ、天使のように可憐な少女だ。俺を見て気絶しなかった」
　彼女の握った手を見つめるグルッペン。彼は無自覚にも少し、ほんの少しだけだが出会ったばかりの彼女に絆されてしまっていたようだ。

　勿論グルッペンはそれに気付いていない。ただ少し手放すのには惜しいと思っただけ、ただそれだけだと思っている。トントンは何処か様子の可笑しいグルッペンにはあ⋯⋯と深い溜め息を返した。

「俺が女嫌いなん知ってんのに、ホンマにタチ悪いわ」
「それを言うなら俺もだ。心配ないゾ」
「俺は全力で出ていって貰うよう仕向けるからな」
「その方が都合が良い、お前の好きにしてくれ」

　トントンはグルッペンの心情を読み取るように睨み付けるが読めそうにもない、グルッペンはただそこに座って笑っていた。トントンは諦めたように肩を下ろすと、あーと呟く。

「⋯⋯その女に言うとけよ、ゾムには近付くなって」
「ハハ、殺されるぞってか？」
「ゾムは俺よりも酷いからな」

　────女嫌いが、

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