無惨様は確かに誰かに愛されていた。【鬼舞辻無惨】

一人称(無惨視点) ページ14

.


最後まで駄々を捏ねていたAであったが、結局俺と一夜を共に過ごす事を了承してくれた。
……初めての事だった、誰かと一夜を共に過ごすのは。

『ねえ、無惨。』
「ああ。」
『無惨ってさ、たまに自分のこと俺って言うよね。』

……。

「お前の前で言ったことがあったか？」
『うん。さっきもずっと俺って言ってたじゃない。』

覚えてないの？と少し小馬鹿にしたような顔でAが言ってきた。…昔の俺なら腹を立てて居ただろうその顔は、今の俺にとっては愛おしい。

…ただ愛おしい。

『無惨？私の話聞いてるの！』
「ああ聞いている。」

拳をブンブン振り下ろす仕草も愛らしい。……俺は幸せだ。

『やっぱり聞いてない！もう知らない！この二重人格野郎！』
「待て、何故そうなる。」
『私って言ったり、俺って言ったり、それはどうしてなの！って聞いても答えてくれないじゃない………。』

そんな話だったか。顔を見すぎて聞いていなかった。


……どうしてと言われても。
それは単に、そう単に、


「お前と居ると安心するからだ。」
『…安心したら、自分の事俺って言うの？』

「…ふむ、そのようだな。」

自分でも気づいて居なかった。ただ、俺の立場上どうしても自身の事を私と言わねばならない。だからいつの間にか、他人と話す時は自分の事を私と言うようになっていたのだ。

『え、えぇ……。
なにそれ…ちょっと、嬉しい。』


！！！！！！


「お前は、私が俺と言うと嬉しいのか。」
『…うん。そりゃあ、そんな理由を聞けば誰だって嬉しいと思うよ。

む、無惨は、私と居る時安心してくれてるって事でしょう。それ、凄く嬉しいよ。』



………………何と。


何と尊いのだ！！！！

世にはこんな可愛い生物が存在していたのか。自分の事を俺と言っただけで、ただそれだけで、こんなにも幸せそうに笑う人間がこの世に居るか！？あぁ居た。居たのだ。

A、お前だったのだな………っ！



＿＿＿＿＿

無惨様のキャラがもう崩壊しています。でも無惨様誰かに一回執着したらキモイくらいデレデレになりそうなイメージです。(失礼)

もう無惨様は、Aちゃんのガチファンですからね。ただのファンです。

そういう感じです。


.

約束→←どこまでも

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す