9話 ページ11
｢あの差し支えなければで良いんですけど...｣
｢新八、そんな言い方してたらこいつはいつまで経っても答えねえぞ。
もっとグイグイ行け。だからお前は一生チェリーボーイのままなんだよ｣
｢うううるさい！！Aさんの前でなんて事言ってんですか！！
一生じゃねーし！！一生じゃねーし！？｣
｢...仕事に関しては結果的に教えないと駄目なの。｣
｢どういう事ですか？｣
｢私今日依頼をしにここに来てるんだよね。｣
｢え、そうなの。聞いてないんだけど新八。｣
｢うるさいです黙ってください。｣
｢その依頼内容が仕事に関係するっていうか、仕事場に関する依頼なんだよね。｣
｢仕事場？｣
｢さっきから俺に対するあたりが強くない？｣
｢黙れ糖尿。｣
そこまで言うと、私は懐から巾着を取り出した。
その巾着の紐を解き入口を開くと、中から白い紙を2枚取り出し
2人に1枚ずつ渡す。
これは、名刺だ。
｢...情報屋...？｣
｢そう。
情報屋してるの、私。
だから情報屋してる時は仮面付けて誰だか分からなくしてるって訳。
今は銀時がいるから外してるけど、情報屋としているときは絶対外さないし。
だから新八くん、外部にこのこと漏らしたら面倒臭い事になっちゃうしやめてね。
...まあ、1番怪しいのは新八くんじゃなくてこっちなんだけど...｣
そう言ってちらっと銀時の方を見ると、銀時はいつの間にか立ち上がって窓際に立っており、
ガラガラと窓を開けると、｢おーい｣と叫んだ。
一瞬何事かと思ったが、今銀時がやろうとしている事に気が付き
慌てて銀時を窓際から引き離す。
｢情報屋がぁ万事屋にぃぐはぁ｣
｢ほんと何してんの、ねえ、何してんの。
馬鹿なの？あ、馬鹿か。おい馬鹿、話聞いてた？｣
窓をぴしゃりと閉め、銀時に尋問する。
｢なんだよただの冗談だろ？ジョークジョーク万事屋ジョーク。｣
｢そんなジョークありません。｣
はあ、と溜め息をつき、自分の近くにあったソファに座り込んだ。
果たして本当に万事屋に頼んでもいいのだろうか。
｢でも情報屋なんて職業ほんとにあるんですね。
僕初めて聞きました。江戸でやってるんですか？｣
｢今までは江戸からだいぶ離れた田舎の方でやってたんだけど、
...不便だし、今日江戸に上京してきたの。事務所もさっき見てきてさ。｣
実際は"不便"という理由で江戸に来たわけではないのだが、今は伏せておく事にした。面倒な事になってしまったら困る。
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作者名：花流 | 作成日時：2019年2月11日 15時
