May.74 ページ37
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「確かに、そう言われても困っちゃうよね〜。あんずちゃんはさ、私からどうやって習った?」
「えっと、プロデュース科には二人しかいなかったですし、マンツーマンで教わりました。」
「うんうん。そうだったね。初めの頃は2人で行動してたことも多かったよね」
「はい。えっと…」
にこにこしてる私とは対照的にあんずちゃんは戸惑っていた。「何が言いたいの?」とでも言いたげだ。
「私、特にあんずちゃんには教えてないんだよ。プロデューサーの基礎なんて教科書見りゃ分かるしさ。こっちからは教えることなんて実はないの。じゃあ、後輩たちはなんのために私たちに付いて回ると思う?」
「…立ち振る舞いとか、ですか」
「ご名答。現場によってスタッフも変わるから私たちの立ち振る舞いの仕方は変わってくるし、芸能界にとって挨拶と礼儀は大切。現場でどう自分が動けるかってことを後輩は見て学ぶ。そして、それぞれの自分のやり方ってものを見つけていく。現に、去年の私とあんずちゃんのやり方は全然違ってたしね」
後輩側も大変だろうね。先輩が1人っていうのは、分からないことを質問できる人も限られてくるし、だから現場に行ける回数も多くない。自立してできるってことを先生たちに示さなければ、チャンスなんて巡ってこない。
…私たちの時とは時代が変わったのだ。
「まあ、質問してきたら、自分が思う方法を教えてあげたらいいと思うよ。『私はプロデューサー!プロデューサーについては私を見て学びなさい!』とか言ってみたら?」
なんて笑っていえば、「そんなこと言えませんよ〜」って苦笑された。「でも、なんだかすっきりした気がします。ありがとうございます。」と頭を下げた。
いざ、「プロデューサーとはなにか」という質問を投げかけられると、プロデューサーってなんなんだ?ってなるんだよね。私は、プロデューサーだけど、ほんとにプロデューサーでいいのか?私のやり方は合ってるのか?って。そこを乗り越えられたら自分の型ってもんが見えてくると思うんだよなぁ。
なんて偉そうなこと言ってみたけど、私はプロデューサー辞めちゃったんだけどね。
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作者名:玲咲 | 作成日時:2021年5月1日 0時