episode.73 ページ27
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「なにそれ。どういうこと?」
「ご、めん。今のなし、」
「…お母さんは、"不慮の事故"で亡くなったんじゃないの…?」
お母さんは私を守って亡くなったの…?私のせいで亡くなったの…?___私が、お母さんを殺したの?
「…っはぁ…っ」
「ごめん、ごめんね、A!Aのせいなんかじゃないから」
「…つき」
「え?」
「うそつき!!」
「!」
抱きしめて、私をあやそうとする凛月くんを突き飛ばした。
お父さんが大好きなお母さんを、私が殺したの?そりゃあ、「お母さんの命日」に私と一緒にいたくないわけだ。私のこと、恨んでるんだよ。私がいなければ、お母さんは今でも生きていられたかもしれないから。
じゃあ、なんで、私のこと愛してるって大好きだって言ってるの?きっと、それも全部全部嘘だったんだ。私を愛してる
私は、ここにいない方がいいんだ。
そう思った瞬間、私は玄関に走った。
「待って…!A!」
「離してよ!嘘つきが触らないで!」
「!!」
動揺した凛月くんは掴んでいた私の腕を緩めた。その隙に外に飛び出した。後ろから凛月くんの「待ちなさい!」なんて叫ぶ声が聞こえたけれど、気にせず走った。できるだけ遠くに。私なんか…いなくなっちゃえばいいんだ。
自分がいけないって分かっているのに、凛月くんに酷い言葉を言ってしまうのは、今にも崩れてしまいそうなこの心を守るためだ。
*
やばい、やらかした。
万理華さん__Aのお母さんが亡くなったのは、Aを守ったから、この事実をAに隠すことにしたのは兄者、薫さんを筆頭にこの事実を知っている全員の総意だった。
無理に背負わせたくないというのもあるし、そもそもAのせいじゃない。お母さんが居ない、というだけで幼いあの子にとって辛いことだ。だから、全員で幸せにしてあげようって決めたのに…
俺は、なんてことを…、
家を飛び出しても、Aの姿は見えなくて。
「…兄者、ごめん…っ、俺やらかした。_________」
「良い良い。いつかは言わなきゃいけない日が来るからのう。…それで、Aはどこにいるのじゃ?」
「……いなくなっちゃった」
「は、」
電話越しで兄者が息を飲む音がした。家に入れば、ちょうどグラタンの焼ける音がして、死にたくなるぐらい悲しくなった。
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玲咲(プロフ) - おかゆさん» コメントありがとうございます!えええ、そんな勿体ないお言葉ありがとうございます…!めちゃくちゃ嬉しいです!!何度も読んでくださってありがとうございました(*´˘`*) (2022年11月23日 23時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品とっても好きすぎて1日に何度も読み返してしまいました。今までこういう系の話を読んだりしていたのですが、この作品めちゃめちゃ泣くぐらい好きです。途中何度もうぅぅ……となりながら読んでいました。遅いでが完結おめでとうございます! (2022年11月23日 21時) (レス) id: 4ef80cb4cb (このIDを非表示/違反報告)
玲咲(プロフ) - ねこかんさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎて、10回コメント読み返しましたありがとうございます泣瑞希くんも好きになってくださってめちゃくちゃ嬉しいです!この作品書いて良かったと思えました。長い間お付き合い下さり本当にありがとうございました! (2022年11月6日 11時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 時々感情移入しすぎて泣きました。神作品ありがとうございますこれは脳内に焼き付かれる作品だ最後に後世に語り継ぎます(語彙力なくなる系オタク)長文失礼しました (2022年11月6日 1時) (レス) id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 初コメ失礼します。お話が良すぎて、毎日2回は更新されてないか確認する日々でした…!!推しと親子のシチュでもう嬉しいのに、瑞希くんというオリキャラに惹かれまくって推しと同じぐらい好きになりました。もう瑞希くんとの恋愛メインでお話読みたいぐらい…!!!() (2022年11月6日 1時) (レス) @page50 id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:玲咲 | 作成日時:2022年8月12日 13時