episode.72 ページ26
.
「お〜、A、包丁使い上手いねぇ〜」
「でしょ〜!学校で習ったの!」
凛月くんのお家で、一緒に夜ご飯を作っているのだ。今日は『グラタン』らしい。そのために、エビを剥いたり、玉ねぎを切ったり、とお手伝いしているのだ。凛月くんの教え方も上手くて普通にタメになる。
「これでホワイトソースとチーズを乗せて、オーブンで焼いて完成〜」
エプロンを外して、リビングの椅子に座った。凛月くんが用意してくれた紅茶を飲んで、お菓子を少しつまんだ。
「お父さんって毎年この時期になると家空けるけど、何してるの?」
「んー、俺は詳しくは知らないけど、なんか仕事でもしてんじゃない?」
「お父さん、仕事してないじゃん」
「…。まぁ、兄者なら海外で用事〜とかもあるんだよ」
「ふーん」と不服そうに言った私は「それってお母さんの命日にやることなの?」と言えば、凛月くんは黙ってしまった。
「子供放ったらかして、お母さんの命日にやることって何?」
「…」
「ていうか、普通に10年も前のことなのに、未練ありすぎじゃない?」
「…」
「そろそろ前向いて歩いたらいいのに。」
「…」
「私は別に新しいお母さん連れてきても、何も言わないのにさぁ、何に気を使ってるんだろ」
「…」
私は気が立っていたんだ。お父さんの真意が分からなくて。毎年、毎年、「お母さんの命日」に、私にはお母さんともお父さんとも一緒に過ごさせてくれないお父さんに。
「私、お母さんのこと、覚えてないし。別に、違う人でもいい」
「…何それ」
「え?」
「あんたがそんなこと言うのはおかしいでしょ!万理華さんが亡くなったのはあんたを守るためで_____________」
.
「なにそれ。どういうこと?」
.
449人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玲咲(プロフ) - おかゆさん» コメントありがとうございます!えええ、そんな勿体ないお言葉ありがとうございます…!めちゃくちゃ嬉しいです!!何度も読んでくださってありがとうございました(*´˘`*) (2022年11月23日 23時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ(プロフ) - 初コメ失礼します。この作品とっても好きすぎて1日に何度も読み返してしまいました。今までこういう系の話を読んだりしていたのですが、この作品めちゃめちゃ泣くぐらい好きです。途中何度もうぅぅ……となりながら読んでいました。遅いでが完結おめでとうございます! (2022年11月23日 21時) (レス) id: 4ef80cb4cb (このIDを非表示/違反報告)
玲咲(プロフ) - ねこかんさん» コメントありがとうございます!嬉しすぎて、10回コメント読み返しましたありがとうございます泣瑞希くんも好きになってくださってめちゃくちゃ嬉しいです!この作品書いて良かったと思えました。長い間お付き合い下さり本当にありがとうございました! (2022年11月6日 11時) (レス) id: 27f192e968 (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 時々感情移入しすぎて泣きました。神作品ありがとうございますこれは脳内に焼き付かれる作品だ最後に後世に語り継ぎます(語彙力なくなる系オタク)長文失礼しました (2022年11月6日 1時) (レス) id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
ねこかん - 初コメ失礼します。お話が良すぎて、毎日2回は更新されてないか確認する日々でした…!!推しと親子のシチュでもう嬉しいのに、瑞希くんというオリキャラに惹かれまくって推しと同じぐらい好きになりました。もう瑞希くんとの恋愛メインでお話読みたいぐらい…!!!() (2022年11月6日 1時) (レス) @page50 id: 831f8c280b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:玲咲 | 作成日時:2022年8月12日 13時