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お茶とお茶請けを卓の上に用意したお父様は、手を動かさない私に不思議そうな表情で首を傾げた。
「……飲まないのか？ 茶請けもあるぞ」
「あっ、いえ……」
「茶請けなら先程毒味をさせた。何も問題は無い」
そう口にするお父様に異質な何かを感じながら、私はおずおずとお茶請けーー
宝石のようにきらきらと光るそれは、幼い頃からの私の好物だった。
そっと口に含み、ころりと転がすと、少し強めの甘味が舌の上に広がる。
その甘味が緊張を少しだけ解きほぐしてくれて、私はほっと一息ついた。
けれど、すぐに気を引き締め、お父様に問い掛ける。
「お父様、お話……というのは」
「……あぁ」
……笑顔を見て、ここまで怯えたことなんてあっただろうか。
にこりと笑ったお父様を見て、微かに震えた肩を隠すようにそう思う。
「やっと、完成したんだよ」
「……完、成？」
今度は私が首を傾げる番だった。
何か、作成途中のものなんてあっただろうか。
いや、あったとしても私には教えてくれていないだろう。
だって私は、王族にも関わらず、政治には携われない存在なのだから。
「あぁ。実はな、
「時雨山に？」
時雨山とは、この城の近くに
……どうして、お屋敷なんて立てる必要があったのだろうか。
「どうして、お屋敷なんて……」
さらに首を傾げながらそう言った私に、お父様はすっと表情を戻して答える。
「本当は、もう少し後の予定だったんだがな」
「……？ お屋敷の建設が、ですか？」
「違う」
冷たい瞳に射抜かれ、私は小さく身じろいだ。
ーーと、同時に。
「……っ、う……」
くらり、と、視界が大きく揺らいだ。
その揺らぎは治まるどころか、少しずつ横揺れが大きくなっていく。
ぐるぐるとかき混ぜられる頭の中。
痛い、苦しい、気持ち悪い。
「お父、様……一体、なに、を……」
脳裏に過ぎるのは、食する宝石、琥珀糖。
(まさか、あれに何か……)
思考が保てたのは、そこまでで。
私の身体は、ゆっくりと横に倒れていく。
最後に、視界の隅に映ったもの。
それは、お父様の歪んだ狂気の笑顔。
「……お前が、言うことを聞いてくれればよかったんだ」
小さな独白と同時に、私の意識はぷつりと途切れた。
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ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！ (2020年7月11日 23時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あういえお - ぐへへ...((え、すげー...みんな言葉使いが...おしとやか...(?) (2019年7月25日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
もうふ - きゃぁぁぁぁ(( 好き。(笑) (2019年7月23日 22時) (レス) id: bc132d7752 (このIDを非表示/違反報告)
狐 - 続きがきになる・・・更新頑張ってください！ (2019年7月22日 20時) (レス) id: 7ea13ff707 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - すんばらしい！更新頑張ってくださいねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ！ (2019年7月22日 14時) (レス) id: 473868f78a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星奈 ふゆ | 作成日時：2019年7月21日 16時
