約束 (ページ4)

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それから暫く、他愛もない会話をしていた。

今日も仕事でいつもと同じ人がしつこく絡んでくるとか、お腹が空いたからとこっそりおにぎりを食べてる人がいるだとか。

程よく脚色をつけて話してくれるので彼と話すのがAの楽しみの一つだった。

これまで自分の周りには快活な人がいることが多かったので、この人のようにおっとりしつつしっかりと自分を持っている相手と話していると心地良く落ち着けて何だか癒される。

「…あ、少し話が長くなってしまいましたね。
時間は大丈夫ですか？」

「あ、いけない。そろそろ片付けないと流石にまずいかも…！」

時計を見ると既に21時を過ぎている。空になったコーヒーカップを慌てて下げ、彼を見送った。

「今日はありがとうございます、来てくれて。」

「いえ。ひ…『俺』も、あなたとお話できて嬉しかったです。
またお話したいので近いうちに来ますね。」

「はい、お待ちしています。おやすみなさい。」

ふっと優しく微笑む彼に少し惹かれてしまったのは、誰にも言わないでおこう。