次期妻候補争奪戦【浦島坂田船】

. ページ36

・



『ふぅ…疲れたぁ……』

「はは、慣れるまではしんどいよなぁ」

『あ、うらたさん…聞いてました？』

「伸びしながら疲れた〜ってな」


あの空気感に耐えられず…特に女性からの視線に耐えられず、バルコニーに出ると少し冷たい風が肌に触れた。思わず吐いた、疲れたという言葉をまさかうらたさんに聞かれてたとは…


『視線が痛くって…あはは』

「あー、まーしぃとか急にあしらい出したからな〜」

『もう志麻さんの周りの女の方の視線が怖くて怖くて』


そう、志麻さんに言い寄る女性達の視線が一番怖かったりする。センラさんの周りの女性もだけど…


「センラはいつも寄るな触るななのに、Aには優しいからじゃね？」

『えぇ…そんなこと言われても……』

「大変ですねぇ、うちのお姫様も」

『からかわないでくださいよ！』

「あ、そっか」


少し閃いた顔をして私の顔を覗き込みながら

「お嫁さん、だった」

なんてにひひ、と笑うから顔が赤くなっていくのが自分でもわかった。本当にここの兄弟はどうなってるんだ…


『まだ全然お嫁さんじゃないです…！』

「まだ、なんだ」

『あ』


クスクスと笑いながら「可愛いねぇ、ほんと可愛い」って言ってくるから多分うらたさんは少し酔ってる、だっていつもは可愛いなんて絶対言わないし…


「んーーー、そろそろ中入ろうぜ？さみぃ…」

『そうですね、入りましょうか』

「おう」






・

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す