策士な彼の愛は重い【そらる】

21. ページ21

.




「いいや？違うと思う」


「なんで」


「だって今まで通り友達でいたいと思ってるし、」



なるせはちっちっちっと舌を鳴らしながら人差し指を左右に振る。
なんかムカつく。



「じゃあ、想像して」



そらるさんが知らない女の子と肩を組んで歩いています。

その女の子に笑いかけながら顔を近付けてキスしました。

その後、流れるようにホテルへ


待っていつの間にか私の話になってる。



「どう思う？」


「…別になんとも」


「本当に？」



…少しだけ嫌かも。


想像の中のそらるがその女の子と手を繋ぎながら私の横を通り抜ける。

目は合ったのに何事も無かったように歩いていった。


ムカつく、嫌だ。


眉間に皺を寄せて口を歪ませると
なるせは「あははっ」といつもの豪快な笑い方で笑って私のおでこをトンと指で押した。



「そういうことだよっAさん」



すごく楽しそうに。

おでこにあった手がよしよしと子供みたいに私を撫でるからしばいてやろうかと思ったけど、その前に誰かが叩き落とした。

その誰かはひとりしかいなくて、



「なにやってんの」


「えー？Aさんがあまりにも可愛いから」


「可愛くないじゃん、この顔は」



ムッとした表情の私の頬を摘んでそんなこと言うから少し傷ついた。

この感情も

そらるがいつも通りなのに傷ついてたのも

そらるに惹かれてるからだと考えれば納得がいくというか…


私、嘘でしょ。

今更そらるのこと好きになっちゃったの？
ベッドから始まる恋とか都市伝説だと思ってたよ




.

22.→←20.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す