【銀魂】【続】男装やめても一般人になれなかった件

第八十七訓 ページ39

とりあえず、建物内に入る。

恐ろしく簡単に入れたので、少し拍子抜けだ。

ていうか、客も見当たらないし。


…とりあえず、百華には見つからないようにしないと。


見つかる前にさっさとあの男…破壊神Aを見つけ、何としてでも弁償代を払わせるのだ。









そして彷徨い続けて数分。


私の今の心情は“帰りたい”の一点張りだ。


だって！至る所に血の跡がついてるし！

クナイは大量に落ちてるし！

ドスン、とかドォン、とか物凄い轟音が聞こえてくるし！

死体があるし！！


『怖すぎるぅぅ…』


まだ誰にも会っていない、というのが不幸中の幸いだ。


…ただ、音のする方を避けているだけだが。


「お前、誰だ！」

ひょっっ！！？


急に声をかけられ、肩がわかりやすく震える。


後ろを振り向くと…


大人数の百華さん達がいた。


『ひええええっっ！！！』


私は変な悲鳴を出し、走り出す。


「待て！！！」


『うわあああ勘弁して下さい！！私は何も、してませ…うぎゃァァァ！！クナイなげないでェェエエ工！！！』



こちらに飛んでくるクナイを、懐から出したフライパンで弾く。


だが、弾ききれず頬や太ももにかすり血が滴る。


うわぁぁぁどうしてこんなハメにィィ！！？



…でも、ただ逃げているだけじゃこの状況を打破できない。


立ち止まり、百華さん達に向き直る。



そして、フライパンを構えた。









・









『フゥ…流石に大人数相手は厳しかったな…』


あちこちが赤に滲んだ自分の着物を見て、呟く。



『…いたい』


腹に刺さったクナイをゆっくり抜く。


すると血が溢れだしてきた。やべ、抜かない方がよかったかも。


そんな事を思いながらとぼとぼ歩き出す。


後ろを振り向き、気絶している百華さん達に心の中でごめんなさい、と呟いておいた。









そんなこんなでゆっくり足を進めていると、足音が聞こえてきた。


…だ、誰か来た！？やばっ！！


でも、こんな状態では素早く動けず…曲がり角から人影が見えてきた。



『…こ、こども！？』


曲がり角から現れたのは、子供だった。


それは必死な顔でこちらに走ってくる。


そして、その子供を追いかける、百華のお姉さん方。


子供は、どんどんこちらに近づく。


なので、必然的に百華の人達もこっちに来るわけで…


『うぎゃぁぁぁ！！』


私も走り出す。


これが火事場の馬鹿力というやつか。さっきまでの痛みが嘘のように、速く走れた。

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