55 かけがえのない。 ページ11
水景side。
決勝に進出した五人。とてもいい調子だ。
「みんな！凄いよ決勝進出！！」
「正直、ここまで来るとは思いませんでしたわ！」
「大したものだ、、、」
「お疲れ様」
「雅貴の鉢巻のお陰だな」
中崎さんがそう言うと、みんな嬉しそうに笑った。マサさんの心配は、ひとまず完全に切り替えることが出来たらしい。
「蓮さんに連絡する？」
「ナイスシャレ！」
「湊はかわいーね？」
「いやシャレじゃないけど！」
・
桐先高校対輪倉高校の試合を見ていたら、隣に誰かが腰をかけた。
「え、蓮さん」
「よっす！」
「蓮！？ここに来てて、雅貴は大丈夫なのかー？」
中崎さんが驚いたようにそう言うと、前に座る女子3人も同調した。
「そうですよー！」
「付き添いとか看病とか、、、」
「自分はいいから、試合の写真撮っといてくれってさ」
ああ、、、ね。なんともマサさんらしい。
「風舞は松雪破って決勝進出だぞ？」
「マジすか！？撮影し損ねた！雅貴に怒られる、、、、あとは優勝か、、、で、どう？勝てそう？」
「簡単に言いますわね、、、」
「相手は桐先ですよー？」
乃愛とゆうなが呆れたように蓮さんを見る。
「おいおい、、そこは嘘でも勝てるって言うとこだろー？」
「嘘でもって！」
「いや、今日の男子は調子がいい。表情も」
「表情？」
わたしは乃愛の不思議そうな声にこくりと頷いて言う。
「そうだね。適度な緊張感で、楽しそうに弓を引いてるように思える。好きこそ物の上手なれ。ってよく言うでしょ。だから、、、もしかしたらもしかするかも」
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作者名：co2 | 作成日時：2023年7月2日 23時
