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だって、男だし ページ15

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資料を見た


あの女は【水宮 A】というらしい


あの眼鏡の、確か椚とか言ってたヤツの推薦で入学してきた女

シンプルに気になった



それからというものあの女を目で追うようになった



女々しいな。俺は女か。



その日は雲行きが怪しく、胸騒ぎがする一日だった。


けれど、この校舎にいても居心地は悪く、陽の光が無いことを救いに校舎裏をふらふらと訪れていた



不意に零の白く透き通ったような頬に雨粒が落ちる


とうとう泣き出してしまった空は勢いを増していく

零は舌打ちをして引き返そうと踵を翻す




「…ん?」




人間離れした零の耳になにか殴る音が聞こえてくる


すぐにわかった

これは人を殴る音。



再び舌打ちをして零は聞こえてきた音の方に足を速める



見えてきたのは二人の女。


一人は普通科の生徒、そしてもう一人は____




「…ッ、あんたなんかいなくなっちゃえ!!」



振り上げた女の手を後ろから掴み上げる


途端に女は絶望の表情に染められ、雨で唇から滴り落ちた雫

それは血のように染まり女は怯えた様子で口を開く



「朔間…くん!?」




言い終わったと同時にAが倒れ、零は酷く無機質な顔で掴む手に力を込める


女は小さな悲鳴を上げ震えた



「てめぇ…次こいつになにかしてみろ
タダじゃおかねぇからな」


地を這うような、零は自身でも驚くような

低い声で相手を脅せば


女はこくこくと涙目で頷き走り去って行った



零はAの濡れた髪を掬い上げ優しく頬に触れた




「…熱があるじゃねぇか」


舌打ちし急いで自分のブレザーをかけて抱き上げる


軽い。


前に敬斗を抱えたことがあった零だが比べようもない軽さに驚く


このままでは大変なことになってしまう


保健室に直行した零


びしょ濡れの二人に佐賀美は驚きながらもAの家に電話をかけた


本来ならばこれ以上体温が下がらないよう着替えさせるのだが相手は女の子


いくら養護教諭でも年頃の女を着替えさせるのは気が引けるし、零も健全な男子高校生だ


腕の中で顔を赤らめ荒い呼吸を繰り返す女に確かに動悸は早鐘を打っていた





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貴方と同じ花で→←それすらも愛おしい



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多趣味のM(プロフ) - え、続きはないんですか??めっちゃ気になります (2021年9月5日 11時) (レス) id: f8e0dd5819 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アイスてぃー。 | 作成日時:2019年4月5日 21時

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