第002話【翔べる】 ページ4
田中「それにしても、あんま育ってねぇな〜」
田中が笑いながら自身の身長と日向の身長を比べていると、日向はハッキリとした光を目に宿し宣告した。
日向「─────小さくても、俺は飛べます！…烏野のエースに、なってみせます！」
田中「おいおい、入ってそうそうエース宣言か…いい度胸だな…！」
「うっ」
「…それだけ大口叩くならそれ相応の実力を付けてからにして欲しいね。」
「うぐっ」
田中とAが言うのに、吃る日向だが爽やかな笑みを浮かべた菅原が宥める。
菅原「いいじゃん、志は高い方が。な？」
日向「っが、頑張ります…「─────お前、エースになるなんて言うからには」」
日向の言葉を遮ったのは影山。その眉間にはシワが寄っている。元々目付きが悪いのも相まって正直怖い。
「ちゃんと上手くなってんだろうな？…ちんたらしてたら、また三年間棒に振るぞ。」
「ッなんだと…」
そのまま澤村の言葉にも耳を貸さず、争う2人。
更には勝負するやらなんやらと言い始め流石の澤村も口元がひくついていた。
「サーブ、打てよ！全部捕ってやる」
「おいコラ！」
「単細胞かよ…」
この展開には田中もAも焦る。今この体育館には教頭がいるのだ。もし何かこの2人が問題を起こしたらと思うと─────想像したくもない。
「もう去年までの俺とは違う」
「…去年とは違う、か。俺だって去年とは違うぞ。」
そして流れるがままに対決をし始める2人。
それを見ていた教頭は顔を顰めながらグチグチと言う。
「主将の指示を聞かないなんて問題だねぇ…」
影山の2発目の強烈なジャンプサーブが放たれる。
コートの端へと向かうそれを日向は反応した
─────が、そのボールは日向の腕を弾き教頭の顔面にぶち当たった。
「こんなことじゃ…へぶっ」
そしてその髪が、舞い澤村の頭に落ちた。
「澤村くん、…ちょっといいかな。」
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作者名：ちきんたつた | 作成日時：2023年9月6日 4時
