二人きりの部屋〔JM〕 ページ26
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俺が、触れたくても触れられないAちゃんの唇に簡単にキスしたユンギさんを殴り飛ばしたい。
そして、簡単にそれを受け入れるAちゃんにも苛立った。
わかってるんだ。
酔っ払ってたとはいえそれをさせてしまったのは、俺だって。
嫉妬する度に気付くんだ。
Aちゃんへの気持ちが強くなっている事に…
だけど、Aちゃんを目の前にすると素直に慣れなくて、また今日も何も言えないんだろう。
家庭教師としてAちゃんの部屋に来るのは、もう何度目だろう。制服姿のまま机に向かい椅子に座るAちゃんが、椅子ごと横に座る俺の方へと体を向けた。
その勢いで短いスカートが揺れて、ドキッとする。
そんなのお構いなしにAちゃんは、俺の顔を見て話し始めた。
「ユンギがね、誘ったのは俺の方だからお金はいいって」
「えっ?会ったの?」
「会ってないよ。電話来ただけ」
「…そっか」
あの日、Aちゃんを救ったのはユンギさんで、俺はタダ飯食って変な女にキスされて幻滅されて、なんか俺めちゃくちゃかっこ悪いじゃん。
「でね、ユンギが今度メジャーデビューするらしいよ。」
「へぇー」
「あの日のLIVEにレコード会社の人が来てたんだって」
「ふーん、そうなんだ」
「絶対聞いてないでしょ」
Aちゃんが嬉しそうに話すから面白くない。
元彼がすごいって話を聞かされて、俺はどんな反応をするのが正しいのか分からないし、自分がどんどん惨めになっていくだけでこれ以上聞きたくないのが本音だ。
「早くこの問題解いて」
だから、わざと会話を変えた。
面白くなさそうに、体を戻してノートにシャーペンを走らせるAちゃん。少しすると分からないのか手が止まった。
「わかんない」
「どれ?あー、これはこの公式使って解いて」
「あー出来た」
嬉しそうに俺を見上げるAちゃんとの距離が近くて、その瞬間またドキドキ鼓動が速まるから慌てて離れて距離をとった。
「ねぇ、合ってる?」
「あぁ、うん」
何でこんなに意識してんだろ。
「ねぇ、どうかした?なんか変だよ」
「はぁ?いつも通りだし。早くやれ」
いつも通りじゃないのは自分が一番よく分かってる。
前は、平気で肩を組んだり頭を撫でたり出来たのに、今はドキドキしてしまうんだ。
「なぁ、日曜日空いてる?」
「えっ、それってデートの誘い?」
「あぁ」
だから、一歩踏み出すって決めたんだ
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ピノ子(プロフ) - 名無し41903号さん» 遂に結婚しちゃいました(b゚v`*)最後まで読んでいただきありがとうございます♡番外編もちょこちょこ書いていくのでぜひよろしくお願いします!コメント嬉しかったです♡ありがとうございます♡ (2022年2月16日 9時) (レス) id: 62d1221d7f (このIDを非表示/違反報告)
名無し41903号(プロフ) - わあああ!遂に推しと結婚できちゃったなんてニヤニヤしちゃいました!お疲れ様です!寝る前によく読ませていただいてますのでこれからもよろしくお願いします₍ᐢ. ̫ .ᐢ₎ (2022年2月16日 2時) (レス) @page36 id: 23d1a85d87 (このIDを非表示/違反報告)
ピノ子(プロフ) - たかみさん» たかみさん、嬉しいコメントありがとうございます♡最後まで書けるよう更新頑張ります! (2022年2月3日 10時) (レス) id: 62d1221d7f (このIDを非表示/違反報告)
たかみ(プロフ) - とても面白かったです!切なすぎて胸がきゅーんとなりました。楽しみにしてます! (2022年2月2日 17時) (レス) @page11 id: 1bef4440db (このIDを非表示/違反報告)
ピノ子(プロフ) - keiさん» keiさん、嬉しいお言葉ありがとうございます♡歴代のということは全部読んでくれてるんですね( ; ; )なんとか最後まで書けるように頑張ります! (2022年2月2日 16時) (レス) id: 62d1221d7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピノ子 | 作成日時:2022年1月29日 21時