朔間凛月誕生日 その四 ページ25
｢へえ……君ってさぁ、前から人より小さいなって思ってたけど、実際抱き締めると、本当にちっさいんだねぇ｣
｢そ…れは、悪口という事でしょう、か｣
｢は？悪口じゃないし、俺にピッタリの抱き枕じゃんって言ってんの｣
｢抱き枕！？いやいやいや、とにかく離してよ！｣
態とらしく私の背中を撫でる凛月くんに、恥ずかしさと擽ったさが混じり、思わず肩を揺らす。
彼の手は背中から腰へと手を滑らせ、自分の元へと引き寄せた。
挙句には、足を絡ませ完全にホールドされている状態だった。
嗚呼これが恋人同士だったら、嘸かし素晴らしいんだろうなと、ちょっとした思いを遠目に私はせめてもの抵抗で凛月くんの胸を押した。
｢ふわふわしてて暖かい、あれ、君ってもしかして女の子だったり｣
｢っ…！ち、がう｣
｢だよねぇ｣
｢い、いいから、早く皆の所に行かないと｣
｢嗚呼それね、うん。気が変わった、あと一時間Aが俺の抱き枕になってくれるっていうなら行くよ｣
それじゃあ予定した時間を遥かにオーバーしてしまう。
抱き枕ならいつでもなってやるから、と訴えるも彼はニコニコと笑みを浮かべたまま私を見つめた。
｢言うこと聞かないとちゅーするよ｣
｢ままままって！僕達男同士っ、でしょ？！｣
｢あーもしかして初めて？ふふ、それなら貰ったもん勝ちでしょ｣
｢人の話を聞いてってば！｣
キスに男も女も関係ないのか、少しの不信感を抱きながらも、徐々に近づく彼の顔に頭がパンクしそうになった。
近づく紅色に吸い込まれそうになる。
鼻先がちょんとぶつかる。
私は思い切り瞼を閉じて、もうどうにでもなれと彼の腕を掴む手に力を入れた。
が、
｢なぁに、本当に期待した？｣
｢な、え…は？｣
｢Aって面白いよね、気に入ったかも。じゃあ俺は行くから、抱き枕の約束忘れないように｣
そう言って彼は私を離し、校舎へと歩いて行った。
キスは、されていない
｢っ……！！ばっ、馬鹿｣
心臓がいつと以上に早く動く。
きっと私の反応を見て楽しんでいただけだろう。
そう思うと、瞬間に顔が赤くなり地面に蹲った。
拳を地面に叩きつけ、ハッとする。
嗚呼、武道を習っていたものの、何故本気で抵抗しなかったのか。
羞恥で赤くなる額を隠しつつ、私は一ヶ月程、あの紅い瞳が脳裏から離れられなかった。
✱朔間凛月くんお誕生日おめでとう！
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斉賀(プロフ) - 作品とっても面白いです！朔間さんカッコいい応援しています。 (2018年9月23日 23時) (
レス) id: cc12e08766 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - 夢花さんコメントありがとうございます。そしてすみませんでした；；あながちと読むんですが、どうやら変換ミスをしてたようです；すみませんでした！反省の意を込めて一度棺桶に入ろうとおもいます！ (2018年9月22日 21時) (レス) id: 859ce7d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - 夜月さん» 夜月さんコメントありがとうございます！とても嬉しいです＾＾そして、ダイヤがない時は魔法のカードに頼るのがよいのでは？（笑）← (2018年9月22日 21時) (レス) id: 859ce7d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - うん…まあ確かに人が棺桶から出てくるのはシュールだね……ww想像したら笑えてくるなコレw (2018年9月22日 19時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 作者さんに質問です。十二話の「間違ってはいない」の前の文字はなんと読むのでしょうか…コピペして調べてみたのですが、その後に「間違っては」とついても違和感のない読み方が分からなかったのと、このスマホではこの漢字が認識されませんでした。 (2018年9月22日 18時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：丸 | 作成日時：2018年9月15日 2時
