十九話 ページ19
人気のない所まで走った私は、荒らげた息を整えるように深呼吸をした。
｢なに逃げてんだ私……｣
思わず声に出てしまった本音。
周りに誰もいないか確認をすれば、ほっと息を吐く。
昨年はずっと一人だったじゃないか。
何人かにユニットを組もうだとか、人形がどうとか、ヒーローがどうのと沢山の人に声を掛けられていたが、全てを断っていた。
今更『友情』や『仲間』なんかを捉えたって意味が無い。
アイドルになんてなりたくない。
興味もない
周りより少し顔の整った男が多いだけで、ハーレムなんて羨ましいなどと夢見てる女も一人や二人いなくもないと思うが、
私は色恋沙汰など興味が無い。
私はただ、何れ受け継ぐ事になるこの学院を、あくまで偵察程度で入学させられたのだから。
｢馬鹿だなぁ……いつまでも両親のせいにして、自分の意見など言わないで従ったまま。
操り人形みたいじゃん……｣
｢うにゅ！？な、わっ、びっくりした〜！｣
｢え？｣
己の哀れさを改めて実感した私は、校舎内にいくつか置いてある掲示板に拳を一つ打ち付けた。
その反動で取れかけていた画鋲が一つ、床に音を立てて落ちた。
その鈍い音に誰かが声を上げた。
その舌っ足らずの喋り方に私は思わず肩を揺らした。
｢あ、お前、Aじゃないか、こんな所で何してんだ？｣
｢な、ずな…先輩｣
｢おいおい、こんな所に八つ当たりか？私物を壊すのは構わないが、ここの物を壊したら器物損壊になるんらぞ？｣
相変わらずの噛み癖に私は一瞬口角があがる。
｢おいこら、今俺が噛んだからって笑っただろ！うにゃ〜お前は昨年から変わって無いんだな！｣
その表情の変化に咄嗟に気づくなずな先輩。
落ちた画鋲を拾い上げれば、自分より少しだけ高い場所へと画鋲を差し込む。
ヒラヒラと剥がれそうな紙が綺麗に貼り付けられるのを横目に、私は苦笑いを浮かべた。
｢なずな先輩は、変わりましたね｣
｢お前が変わらなすぎるんだよ｣
｢見えない糸に吊されたままの生き方なんて、素晴らしいじゃないですか｣
｢……なにが言いたい｣
鬱憤晴らしをしたいのか、
私は思ってもいないことを口走り、目の前の先輩に挑発的な笑みを見せた。
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斉賀(プロフ) - 作品とっても面白いです！朔間さんカッコいい応援しています。 (2018年9月23日 23時) (
レス) id: cc12e08766 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - 夢花さんコメントありがとうございます。そしてすみませんでした；；あながちと読むんですが、どうやら変換ミスをしてたようです；すみませんでした！反省の意を込めて一度棺桶に入ろうとおもいます！ (2018年9月22日 21時) (レス) id: 859ce7d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - 夜月さん» 夜月さんコメントありがとうございます！とても嬉しいです＾＾そして、ダイヤがない時は魔法のカードに頼るのがよいのでは？（笑）← (2018年9月22日 21時) (レス) id: 859ce7d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - うん…まあ確かに人が棺桶から出てくるのはシュールだね……ww想像したら笑えてくるなコレw (2018年9月22日 19時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 作者さんに質問です。十二話の「間違ってはいない」の前の文字はなんと読むのでしょうか…コピペして調べてみたのですが、その後に「間違っては」とついても違和感のない読み方が分からなかったのと、このスマホではこの漢字が認識されませんでした。 (2018年9月22日 18時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：丸 | 作成日時：2018年9月15日 2時
