三十四話 ページ38
｢くくく。いきなり土足で我輩の城に踏み込んできたかと思えば、えらく不躾じゃのう
けれど、そういう腕白な態度も若者の特権じゃ
転校生ならほれ、そこにおるよ。うちの子たちが攫ってきてしまったようでのう、そこは謝罪しよう
軽音部の愛し子たちは、どうにも『やんちゃ』でのう？｣
攫ってきてしまったなんて言うけれど、実際は、朔間先輩が連れてこいって言ったんだよな。
そのお陰で私は無駄な体力を奪われたし、何より変態仮面の先輩に毒を吐かれた。
こんなにも災難が続くと、明日にはもう地の底へ埋められるんじゃないかと疑ってしまう。
そんな落胆した気持ちが表情にでたのか、朔間先輩がよしよしと頭を撫でてくれた。
この人はいつだって周りの事をよく見て行動している。
優しい先輩というよりは、お爺ちゃんのような。大樹と言ってもおかしくはない。
｢とはいえ、双子と夢乃くんが我輩のために献上してくれた貢ぎものじゃ。ほいほいと、『ただ』で返すのも惜しいのう？｣
先輩は腕を組み、転校生の方へと視線を移せば挑発的な笑みを浮かべた。
｢おぬしらがまことに夢ノ咲学院の『特異点』となりうる彼女を、転校生を扱うに相応しいかどうか……
この朔間零が、ちょろっと試してやろう｣
これから、転校生をかけての賭け事でも始まるのだろうか。
私は朔間先輩へと視線を移せば、にこりと微笑みが返ってくる。
どのみち転校生目当てのこの流れ、私は関係ないと感じたのか、部室を出ようと歩き出したが、腕を掴まれる。
｢何処に行くんじゃ？｣
｢き、教室に戻ろうかな…って｣
｢物語はまだまったばかりじゃ、おぬしにはまだまだ手伝って貰う事が沢山ある。ここで帰られては、困るんじゃが……？｣
｢は……はぁ、？｣
わざとらしく上目遣いをしてくる先輩に、引き攣った笑みを浮かべる。
その上から目線の姿勢で、上目遣いをしてくるおじいちゃんを奇妙に思いながら、足を動かすのを止めた。
うんうんと頷く朔間先輩に、私は苦笑いをし小さく溜息を吐いた。
そして、転校生の方へ目をやれば、双子との異様な光景に目を丸くした。
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斉賀(プロフ) - 作品とっても面白いです！朔間さんカッコいい応援しています。 (2018年9月23日 23時) (
レス) id: cc12e08766 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - 夢花さんコメントありがとうございます。そしてすみませんでした；；あながちと読むんですが、どうやら変換ミスをしてたようです；すみませんでした！反省の意を込めて一度棺桶に入ろうとおもいます！ (2018年9月22日 21時) (レス) id: 859ce7d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - 夜月さん» 夜月さんコメントありがとうございます！とても嬉しいです＾＾そして、ダイヤがない時は魔法のカードに頼るのがよいのでは？（笑）← (2018年9月22日 21時) (レス) id: 859ce7d0e7 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - うん…まあ確かに人が棺桶から出てくるのはシュールだね……ww想像したら笑えてくるなコレw (2018年9月22日 19時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - 作者さんに質問です。十二話の「間違ってはいない」の前の文字はなんと読むのでしょうか…コピペして調べてみたのですが、その後に「間違っては」とついても違和感のない読み方が分からなかったのと、このスマホではこの漢字が認識されませんでした。 (2018年9月22日 18時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：丸 | 作成日時：2018年9月15日 2時
