【戦国BASARA】過去を超えた先に──。《前田慶次》 (ページ9)

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何気ない行動ページ9

「だから、受け取って？」

そこまで言われてしまえば、受け取らないわけにはいかない。
簪を軽く撫でると私は笑みを広角に浮かべ、「ありがとうございます」とお礼を言った。

すると、慶次さんは少し顔を紅潮させた。

「い、いやぁ〜、礼には及ばないよ〜。･･･っと、さっそく差してみるかい？」

そう聞かれたので、こくりと頷くと、慶次さんは私の手にある簪を掴んだ。

「･･･何をなさるのですか？」

「ん？差してあげようかと思って」

「自分で差せます！」

殿方に髪を触られるのは恥ずかしい。
私は必死に簪を返して欲しいと訴えるけれど、慶次さんは一向に返してくれなかった。

「･･･ややちゃん、こういう時には男にやってもらうのが一番だよ。俺としても男が廃るってもんだ」

「そういうもの･･･なのですか？」

「そういうものなんだよ。･･･って、流石に櫛が無けりゃ、差せないよな」

そう言って、私の手を引く慶次さん。
慶次さんにとっては何気ない行動なのかもしれないけれど、男性という生き物に免疫のない私の心臓はとても早く動いていた。

(ど、どうか･･･、早く終わってください･･･！)

私の心はそう願ってしまうばかりだ。