【戦国BASARA】過去を超えた先に──。《前田慶次》 (ページ3)

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尊く温かいページ3

「まつさん」

「やや殿、毎度、来て下さり、まつめは感激にございまする」

勝手場に入り、まつさんの名を呼ぶ。
女の私でも綺麗だと思えるその顔でにこっと微笑みかけられると、少しドキッとする。

なんとなく、お姉さんと雰囲気が似ているからか、少し懐かしい感じがした。

「いえいえ、今日の献立はなんですか？」

「鍋にしようかと思っておりますわ」

味は醤油で仕上げるというので、私は沸騰した鍋の水に昆布を入れてだしを取る。

そして、醤油などで汁を作り、まつさんが刻んでくれた具に火が通るまでぐつぐつと煮た。

少し経つと、鍋のいい匂いが漂ってくるのを感じ、そこで火を止めた。

「醤油のいい香り...、やや殿、上出来に御座います！」

「まつさんから沢山料理を教わりましたから」

豊臣秀吉が居城、大阪城にいた頃は姫という待遇で、料理などの家事は危ないからとなかなかさせてもらえなかったけど、慶次さんに前田家へと連れられてから、色んなことを経験するようになった。

料理や裁縫、掃除など。
それら全てのやり方を丁寧に教えてくれたのはまつさん。

姉が亡くなってから、悲しみに暮れることもあったけれど、そんな時は利家さんやまつさんが元気づけてくれた。

そんな二人がまるで家族のように尊くて、心が温かくなる気がした。