桜 ページ2
「〜♪♪」
鼻歌を歌いながら縁側に座る私。
目の前にはたくさんの桜が咲いている。
(とても綺麗・・・)
美しいその桜達を眺めるのは最近の私の楽しみになっていた。
「鼻歌を歌い、桜を眺むる乙女!いやぁ、美しいねぇ」
「け、慶次さんっ」
急に声を掛けられ、身体がびくっとなってしまう。
思えば、隣部屋は慶次さんの部屋だった事をすっかり忘れてしまっていた。
「あれ、驚かせちまったかい?ごめんよ」
「全然大丈夫です」
「そっか。...にしても、綺麗だなぁ。俺も桜は好きなんだ。女々しいってよく言われるけどね」
そう言って、切なく笑う慶次さん。
この時、何を考えているのか私にはだいたい分かってしまう。
多分、姉の事なのだろう、と。
慶次さんは、私の姉、ねねに恋情を抱いていた事を私は知っている。
お姉さんがかつて親友であった義兄さんに殺されてしまったこと。
彼はきっと悔いていたに違いない。
「...と、ややちゃん、まつ姉ちゃんの手伝いしなくていいのかい?」
(そういえば...。まつさんの夕餉作りのお手伝いしなくてはいけなかったんだった。花見に夢中になって忘れてしまうところだった)
慶次さんの一言で私はその事を思い出し、ぺこりと頭を下げると、急ぎ足で勝手場を目指した。
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作者名:彩月いろは | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/36b8bca33b1/
作成日時:2017年7月18日 14時