私は花吐き病 83 ページ42
栞side
「で?(栞)を連れ出した張本人は?」
「ああ。あいつならまだ寝てるぜ」
「寝込んでる、ではなく?」
「いや、寝てる」
「…………」
「…………」
『…………』
幻太郎の無言がすごく痛い。
帝統は相変わらず頭に?が浮かんでるし
「そうですか」
沈黙の後、幻太郎はにっこり微笑んでそう言ったかと思えば
自分のマイクを懐から取り出し起動させ
「ちょっと起こしてきますね」
ものすごい剣幕で部屋を出て行った
一瞬で血の気が引いたのは私だけじゃなかった。
「だあああ!!!バカバカ!起こしに行くってラップで起こすやつがいるか!!!!?
起きるどころか永眠するぞ!!!!」
「天国から地獄に叩き潰しますよ。
(栞)がこんなになっているのに、その原因は今もすやすや寝ているなんておかしいでしょう」
「いや、まぁ、でもよ…」
「今回は風邪でよかったものの……
これでもっと重たい病気でしたら
(栞)、今頃ここにはいませんよ?」
ヴォン
「乱数ァ!起きろ!!!起きねえとラップで叩き起すぞ!!!!!」
『帝統……』
結局起こしに行ってくれたのは帝統になってしまった
「(栞)」
『……ん?』
「先程も言った通り……、貴方は免疫力が落ちています。だから風邪もひきやすければ、ほかの病気にもかかりやすいんです。
もっと自分の体を大切になさい。
あなた一人の体ではありませんよ」
そう呟きながら私を抱きしめる幻太郎は
微かに震えている気がした。
嗚呼、きっと不安だったのだろうか。
いくら風邪だといっても 彼にとっては怖かったんだろう
幻太郎なりに私を心配してくれているんだから
これ以上心配かけたらダメだ
『ありがとう、幻太郎』
「……治ったら 小生とデートする約束覚えていますか?」
『……覚えてるよ』
「花吐き病は治りましたが、今は風邪をひいてますのでね……
風邪が治ったらデートして貰いますよ」
『うん、わかった!!』
私の返事に幻太郎は笑みを浮かべて
"じゃあ約束ですよ" と小指を絡めた
____________
「いやいや(栞)おかしいよ!僕と付き合ってるのに
幻太郎とデートなんて許さな…ムグゥ!」
「お前は少し大人しくしてろ!
あの約束はお前と付き合う前の約束だろ?」
「だとしてもぉ〜……嫌なものは嫌っ!」
「女子みてえなこと言ってんじゃねえ!」
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たんたん - とてもいい作品でした ……… たくさん泣いてしまいました 作ってくれてくれありがとうございます (8月17日 9時) (レス) @page44 id: c71d350c23 (このIDを非表示/違反報告)
ゆンぼぉ - 感動してっ………泣きました、うん。これ見て泣かない人はいなi((個人による またこーゆーガチ素敵な小説作ってください!(スライディング土☆下☆座☆) (2023年4月9日 22時) (レス) @page44 id: e38417b7d4 (このIDを非表示/違反報告)
ミツキ - 感動しました泣きましたっ…この作品を作っていただいてありがとうっ…ございます。 (2020年12月9日 19時) (レス) id: ec419398fd (このIDを非表示/違反報告)
十鞠 - 心が、きゅっとなりましたぁぁ!!貴方は天才ですか?いや、天才だわ(確信) (2019年8月15日 16時) (レス) id: fb05fdae18 (このIDを非表示/違反報告)
Shiori(プロフ) - 赤砂晋助さん» 返事が遅くなり申し訳ありません……!語彙力低下するほど良かったと思ってくださって嬉しいです(´;ω;)また近々更新致します!(`・ω・´) (2019年7月30日 20時) (レス) id: 82c195a08a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Shiori | 作成日時:2019年6月10日 22時