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始めにきっぱりと断れなかった俺も悪いが、それからの藤ヶ谷はすごいの一言だ。
「おはよう北山、今日はずっと一緒の仕事で嬉しい」
「メンバー全員との収録だろ」
「うん、それでも嬉しいよ」
「あ、髪の色少し変えたでしょ」
「あぁ、今度ドラマ始まるからその役作りで…」
「前の色も良かったけど、こっちもすごい好き」
「その服いいね、新しいやつ?」
「こないだの休みん時に買った」
「へぇ、どこのお店?」
「…なんか言いたくない」
「北山眠い?皆来るまでまだ時間あるからちょっと寝てなよ」
「ん…でもこれ進めないと…」
「俺やっとくから、ね?」
「…わるい、じゃあ…」
「ふふ、任せて」
ふとした瞬間とか楽屋で二人きりになった時、目がよく合うようになったし会話している時間が格段に増えた。
今までだって嫌われてはいないって事は分かっていたけど、仕事の合間に談笑することは滅多になかった。
そしてとにかく俺を褒める。
髪型や服装、仕事の回し方が上手くいった時や撮影で良い表情ができた時、それはそれは絶妙なタイミングで俺を喜ばせる。
さすがに他のメンバーも何だ何だと気になっていたようだが、それも始めの内だけですぐに俺とセットの藤ヶ谷が当たり前の光景になっていった。
それにもう一つ、これは藤ヶ谷自身にとって良い傾向だと思った。
「あー…だめだ疲れた…きたやま癒して」
「え、えっ、何…なんて?」
「もう、ちょっとだけ肩貸して」
「どうしよう、最近全然寝付けない…」
「大丈夫かよ、何かできる事ある?」
「うん、ぎゅーさせて?」
「それ以外でお願いします」
「最近調子良さそうだな」
「うん、仕事いっぱいでも北山に会えると思ったら元気出るしね」
「そ、そぉ…?」
「ふふ、そうだよ」
格好つけたがりなのか俺には弱みをみせなかった藤ヶ谷が、俺の前で無理をしないようになった。
疲れた、しんどいって、ちゃんと言ってくれるようになった。
前までは顔色悪いことを気づいても頑なに隠そうとしていたから、声をかけるタイミングを計るのがとにかく難しかった。
それを、俺にだけこそっと打ち明けてくれるようになったことは驚きつつ、隠すのをやめると言ったことは本当だったのだと実感できた。
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絢音(プロフ) - 蜜柑さん» わーっ、蜜柑さんが来てくれたっ♪ふふふ、堪能してもらえてますかね(*゚▽゚*)?まだ折り返しにも満たないのでゆっくりお付き合い下さると嬉しいです(^^)♪こちらこそいつもありがとうございます!! (2021年4月13日 19時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 絢音さーん!やっと読みに来れました…いや、まだ読み始めたとこなんですけど(^◇^;)初っ端からどきどき…流行る想いで先にコメ欄来ちゃいました笑じっくり堪能しまーす!!いつも、ありがとうございます♪ (2021年4月7日 8時) (レス) id: 8d3125b57e (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ふじみつさん» ふじみつさん♪こんばんは(^^)本作を見つけて下さりありがとうございます。ゆっくりと変化していく二人を最後まで見守って下さると嬉しいです(^^)移行先でも楽しんでもらえていたらとても嬉しく思います。 (2021年4月2日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
ふじみつ(プロフ) - こんにちは。幸せに包まれて読んでいるこちらがとても優しい気持ちになりました。少しづつ好きが増えていく心の変化が凄く良くて。続きにいってまいります。 (2021年4月2日 12時) (レス) id: 564c478141 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 宏光って今夜呼ばれたくなって合鍵使って会いに行くみったん最強に推せますね♪お風呂っぴ♪今度は帰らないと分かってるからちゃんとのんびり入るたいぴもポイントです(笑)本作のみったんかわいすぎかと思いつつ初々しい描写はかわいさが止まらないです〜笑 (2021年3月14日 17時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2021年2月23日 17時