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「でもま、俺も藤ヶ谷見習ってこれからは…」
「北山は北山のままでいいんだよ。
無理に変わろうとしなくていい、俺は…自然体な北山を好きになったんだから」
「…そっか」
本心からそう告げると、北山は嬉しそうに笑って、やっぱそういうとこ好きだと少し照れながら伝えてくれた。
マグに添えていた手を徐に離し、北山の手に触れた。
「……」
北山はジッと手を見つめ、それからゆっくりと顔を上げる。
ガラリ…、俺と北山の間に流れる空気が変わった。
重ねた手のひらからジワリと感じる熱が少しずつ胸の鼓動を高めていく。
見つめる視線の先がお互いであることに、感じたことの無い高揚感が沸き上がっていく。
「北山…」
「……」
熱に浮かされたように名前を呼ぶと北山の手が伸びてきて、背中に回り引き寄せられる。
あ…と思ったときには柔らかな唇が重なっていて、舌が中に入りこんできた。
さすがに、慣れてるなぁと若干の残念さは感じたものの、それはもうお互い様だと割り切るしか無い。
重要なのは今までどんな恋愛をしてきたかという過程では無く、これから俺たちがどんな風にしていきたいかという未来なのだから。
押しては引き…緩急をつけながら北山はどこが弱いのか…どんなキスが感じるのか肌で確かめながら夢中になっていると、遠慮がちに胸をトントンと叩かれた。
名残惜しく唇を離すと、銀色に伸びた糸がプツッと切れた。
「ぁ…っ…」
「ふ…」
笑いかけると、北山は僅かに赤らめた目をしどろもどろさせ俺に身体を預けた。
「やっぱ…お前巧いな」
「そう?でもそれは嬉しい」
「……俺がリードしたかったのに」
「ん?ごめん、何か言った?」
声が籠もってよく聞こえなかったから聞き返すと、何でも無いと躱された。
そして次に顔を上げた北山の表情はどこか覚悟を決めたような男らしい顔つきで、それはLIVE中によく見せる顔に似ていながら…それともどこか違うような初めて見る表情だった。
「寝室…、行こうか」
あぁ、その言葉も本当は俺から言おうと思っていたのに。
「…うん」
でもそんなちっぽけなプライドなんてどうでもいいって思えるくらい、北山はめちゃくちゃかわいくてかっこよかった。
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絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 本編のみったんはやや不安要素を残して終えましたが、アフターストーリーの番外編ではそんな杞憂も消えたいぴにすっかり心預けているみったんを描けていればなぁと思う次第であります(*゚▽゚*) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶさん♪たいぴの勘違いからコメディ風に進み、そして甘々シーンを経てより一層幸せな二人にできて私も嬉しく思います( ̄∀ ̄)♪Yの証人も楽しんでもらえてよかった〜♪ (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ユキスケさん» ユキスケさん、お久しぶりです(^^)♪私まで優しくなれそう、そのお言葉に本作を創って良かったなと心から思えました…!Yの証人もありがとうございます(笑)第三者目線はなかなか新鮮で楽しく書けました♪ほっこり甘々な二人にできて良かったです(*゚▽゚*) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ピンクピーチさん» ピンクピーチさん、いつもありがとうございます♪今回は完全片想いから始まるという珍しい入りでしたが、甘々な着地にもっていけてホッとしております( ̄∀ ̄)横尾さんエピも楽しみながら追加しましたが、楽しんでもらえて良かったです(^^) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - *コウ*さん» コウさん、初めまして(^^)序盤からもどかしい二人を見守って下さりありがとうございました!今回かわいめなきたーまさんを書けて私も大満足です(*゚▽゚*)また別の作品でお会いできる事を楽しみにしています♪ (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年12月21日 13時