Last ページ20
「あーでも、…北山って呼ぶのも、結構気に入ってるんだよなぁ」
両想いになって、恋人になって、死ぬまで一途にただ一人だけを愛し続ける…そんなことが可能だろうか。
答えは否…、そんなことあるはずもない。
いつか藤ヶ谷か俺か、別れを切り出す日がきっと来る。
それは明日かも知れないし、十年後かもしれない。
でもいつかその日が必ず来るのだとしたら、俺はこの幸せを知らない方が良かったんじゃないか…
「だってお前、名前で呼ばれ慣れてるんだもん。
だから案外北山って呼んでるの親しい間柄ではなかなかレアな感じなんだよな…」
こんなクソ重たい感情を持ってしまったこと、藤ヶ谷はきっと気づくことはないだろう。
俺の方が好きなんだよと伝えてくれたけど、こんな面倒くさいの最上級な気持ちを抱いているあたり、藤ヶ谷に気持ちで負ける気なんてしない…と思う。
「うーんでもそれじゃ恋人って感じしないし、…やっぱひろって呼びたいな」
「……ん…ぅ…」
「ふふ、…ひろ」
長い独り言は、ひろ呼びをするということで着地したらしい。
でも何だかんだ慣れずに北山呼びは暫く続くのだろう。
何と呼ばれたって構わないと思っていたけれど、藤ヶ谷の声で呼ばれた「みつ」という呼ばれ慣れた響きにあれほど心乱された訳だから、呼び方はどうやら俺にとってそこそこ重要らしい。
「…ん……、……たいすけ…」
「っっ、うぇぇっ!?」
「…んふ」
寝惚けているフリをして、お返しにと特別な名前を呼んでみる。
するとどうだろう、こんな間抜けな狼狽えっぷりが返ってきた。
あぁ…、やっぱりお前かわいいや。
めちゃくちゃかっこいいけど、ちゃんと俺の知っているかわいい一面も残っていることに安心した。
安心したら何だか本格的に眠気が襲ってきたようで、頭がふわふわしてきた。
「ん……」
「もぉ…、今度はちゃんと起きてる時にそう呼んでもらうからね?」
抱きしめる力が強くなり若干の窮屈さが襲う。
それは今の俺にとって泣きたくなるくらい堪らない幸せだった。
髪を優しく撫でられて、額に柔らかな温もりが落とされる。
「誕生日おめでとう。
…生まれてきてくれて、出会ってくれてありがとう」
ずっとじゃなくていい、でも一秒でも長く続いてほしい。
その一秒一秒を積み重ねた先の未来は、きっと眩しいくらいに輝いているはずだから。
fin
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絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» 本編のみったんはやや不安要素を残して終えましたが、アフターストーリーの番外編ではそんな杞憂も消えたいぴにすっかり心預けているみったんを描けていればなぁと思う次第であります(*゚▽゚*) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» たいちゃんらぶさん♪たいぴの勘違いからコメディ風に進み、そして甘々シーンを経てより一層幸せな二人にできて私も嬉しく思います( ̄∀ ̄)♪Yの証人も楽しんでもらえてよかった〜♪ (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ユキスケさん» ユキスケさん、お久しぶりです(^^)♪私まで優しくなれそう、そのお言葉に本作を創って良かったなと心から思えました…!Yの証人もありがとうございます(笑)第三者目線はなかなか新鮮で楽しく書けました♪ほっこり甘々な二人にできて良かったです(*゚▽゚*) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ピンクピーチさん» ピンクピーチさん、いつもありがとうございます♪今回は完全片想いから始まるという珍しい入りでしたが、甘々な着地にもっていけてホッとしております( ̄∀ ̄)横尾さんエピも楽しみながら追加しましたが、楽しんでもらえて良かったです(^^) (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - *コウ*さん» コウさん、初めまして(^^)序盤からもどかしい二人を見守って下さりありがとうございました!今回かわいめなきたーまさんを書けて私も大満足です(*゚▽゚*)また別の作品でお会いできる事を楽しみにしています♪ (2020年3月18日 20時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年12月21日 13時