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「…懐かしいな」
「っ、え?」
俯き掛けた顔を再び上げると、みっくんはあまり見たことのないような表情をしていた。
「みっくん…ってさ、昔…よく呼んでくれてたよな」
「あ…」
──みっくん!
「かわいかったよなぁ、ちっちゃい頃のお前」
昔を懐かしむように遠い目をするみっくんを黙って見つめていると、俺を見てフッと表情を和らげる。
「こーんなにでっかくなっちゃって」
「…みっくん…?」
「……」
みっくんは何かを言おうとして口を開き掛け、だけど伝えようとしていた何かは告げずに、寒いなと静かに呟いた。
「そんな薄着してるから」
「だな、ちょい冷えてきたかも」
汗掻きっぱなしだったもんなとみっくんは徐に着ていたTシャツを脱ぎだして、温かそうなパーカーに着替えた。
「っ…」
男同士の着替えなんて意識することはない。
でも俺にとっては別だった。
ほんの数秒露わになった身体に目が釘付けになってしまった。
「…ん?」
「っ、何でも無い!」
慌てて目を逸らして、少し温くなり飲みやすくなっていた紅茶を一気に飲み干した。
軽く噎せた俺を見て、何やってんだよと面白そうに笑っていた。
そんな何気ないやり取りが、あと一ヶ月もしない内に遠ざかってしまう。
不意に、どうしようもない寂しさに胸が締め付けられる思いがした。
「どうした?」
まだ何も言っていないのに、俺の些細な表情の変化を読み取ったらしいみっくんが心配そうに顔を近づけてくる。
やめて…、今そんな優しい顔されたら…
泣きたくなるのをグッと堪えて、わざと明るめな声を発した。
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ひろ(プロフ) - 絢音さまご返信ありがとうございました^_^ 今は過去の別サイトは紹介されてないのですね。それでは新作がアップされる機会を楽しみにしておりますね(o^^o) またご迷惑でなければコメントもさせてください。お忙しいところ、ご連絡くださりありがとうございましたm(_ _)m (2021年5月12日 21時) (レス) id: 88642e1cbe (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - ひろさん» ひろさん、初めまして(^^)いつも作品読んで下さりありがとうございます♪1ページごとにお星様〜、そんな事言ってくれるの初めてです!とっても嬉しいです(^^)実は歴長いですが、過去の作品は別サイトにあり今はご案内していないんです。お気持ちだけ頂戴しますね(^^) (2021年5月12日 21時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - 1ページごとにお星様を押すことができたら良いのに。そしたらぜんぶのページでお星さま押します。たびたびのコメント、失礼しました^_^ (2021年4月26日 15時) (レス) id: e1b1489f48 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ - はじめまして。作品いつも楽しみにしています^_^絢音さんの作品の登場人物がみんな優しくて魅力的で、温かい気持ちになるので、とても好きです。他にも作品をお書きになられていらっしゃいますか?可能であれば拝見したいですm(_ _)m (2021年4月26日 14時) (レス) id: e1b1489f48 (このIDを非表示/違反報告)
絢音(プロフ) - たいちゃんらぶさん» ふふふ、ほんとは怖いままで終わらせようとしてました(小声)たまには思い切りなバッドエンドも書きたいと思いつつ、誰得なんだ?と控えてますw。でも最後の描写少なかったかなー、もう1ページ頑張ってもよかったかなぁーなんて沸々思ってきてます(*゚▽゚*) (2021年4月2日 22時) (レス) id: f3e37fdd05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絢音 | 作成日時:2019年11月3日 23時