ここから始まる…かもしれない二人

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「ねぇ、北山？」
「…ん？」
「ずっと、北山の事を見てたよ。
だから９年目は見てるだけじゃなくて…隣にいさせてください」



８周年の記念の日、周りにメンバーがいながらも内緒話をするみたいにこっそりと打ち明けた想いを再度口にする。
あの日有耶無耶になってしまった答えはきっと今なら返ってくるはずだから。



北山はフ…と笑みを浮かべた。
そこに先ほどまでのかわいさは無くて、どちらかといえばよく見慣れた挑戦的な笑みで、あぁ…やっぱり俺はこういう北山を一番最初に好きになったんだと再認識した。



「…嫌だね」
「……」
「お前、９年目だけ隣にいたら満足な訳？」
「…まさか」



俺も同じように笑みを浮かべる。
すると北山は満足したように、ゆっくりと表情を柔らかなものに変えた。
くるくると変わる表情はまるで風車のようだ…なんて決して上手いとは言えない微妙な例えを思い付いて一人笑った。



「たった1年で手放す気なんて更々無いから。
１０年目も２０年目も、…その先も」
「…そんなに俺といたらお前飽きない？」
「ふふ、…飽きないよ。
今までだってずっと一緒にいたじゃない」



それこそ、１０年…２０年…俺の隣にはいつだって北山が当たり前のように隣にいてくれた。
もう俺の人生、北山がいることが大前提なんだよ。



「……そっか、そうだな」



俺も、全然飽きる気なんてしないや…。
そう言ってはにかむ北山に、三度目のキスをした。



ここから始まる俺たちの新しい関係は、きっと色々な事が待ち受けているんだろう。
想いが通じ合ってゴールじゃない、あくまでスタート地点に立ったばかりなのだから。



「今日、帰りたくないな」
「っ…！」
「ふふ…」



まだ見たことのない北山をたくさん見て、俺はさらに夢中になるんだろう。
ねぇ、新しい１ページはどんな北山に会えるかな？






fin

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