ここから始まる…かもしれない二人

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「キスしてほしかったの？さっき」
「…っ！」
「期待してくれたんだよね？」
「ぁ…っ…」
「拒絶されたと思わせちゃったんだよね？ごめんね」



顔を真っ赤に染め上げて口をパクパクと開く仕草を見ていると、今までの努力が無駄じゃ無かったと実感できてとても幸せな気持ちに包まれる。
緩んだ頬を隠さずに一挙一動見逃さず目の前の顔を見つめていると、北山がわなわなと唇を震わせた。



「お…お前…っ、何笑ってんだよ…！」
「んー？北山かわいいなぁって思って」
「っ…、バカにすんのも…っ」
「してないよ」
「…っ」



またクシャッと泣きそうに顔を歪めるから、もう一度ちゃんと伝わるように、してないよ…と語りかける。



「嬉しい…、すごく嬉しい。北山…俺のこと好きだよね？」
「……っ」
「ふふ、言い訳考えてもだめだよ？俺分かっちゃったもん」



信じられないと目を見開く北山に微笑みかけて、自らの親指を目の前の柔らかな唇に押し当てそっとなぞった。



「ぁ…」
「きたやま、…好きだよ」
「っ…」



また泣きそうになっているのは、俺のことが好きだからだよね？



もう抵抗されないと分かっている。
その証拠に、北山はさっきと同じように期待するような目を向けて、静かに瞼を閉じた。

二度目に触れた唇は変わらずに甘く柔らかくて…、でもあの日触れた時とは比べようも無いほどの多幸感で溢れていた。








「……っ…ふじがや…」
「うん」
「……っ……すきだよ…？」
「ふふ、知ってる」



俺のことが好きなのだと、いつの間にかお前の好きよりももっと大きくて重たい好きを抱えてしまったのだと小さな声で白状する北山に、それはどうかなと含みを持たせた。

悪いけど、これだけは北山に負けるつもりなんてないよ。
何年プレイヤーだと思っているんだ、お前に対する恋心を抱えてから…。

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