ここから始まる…かもしれない二人

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北山は黙々と料理を頬張っては目をキラキラさせて、頬をくしゃって崩しながら美味い美味いと箸を動かしている。

最近は役作りの為に身体絞らなきゃとどんどん痩せていく姿を見るのは少し心配していたから、今日は気にせず飲み食いするんだと朝から言っていたこともあり美味しそうにご飯を食べているのを見て嬉しくなった。



「あ…」



不意に目が合い、驚いたように目を丸くする北山。
きっとわたがいなくなったことに気づいていなくて、俺が見えた事に驚いたのだろう。

咄嗟に反応できなくてジッと見ることしかできないでいたら、北山は嬉しそうにニコって笑った。



「…っ」
「食べてる？藤ヶ谷」
「う…ん…、食べてるよ」
「そか。ふふ、こっちのも美味いよ？」



そう言って自然にわたのいた隣の席をポンポンと叩くから、流されるままにそこに座った。
北山は更に嬉しそうにして、奥にあった料理を取り分けてくれた。



「あ…、さんきゅ」
「どーいたしまして」



ゆっくりと味わって食べるのを、お酒を傾けながら優しい表情で見つめられている…
何だかすごく擽ったくて、でもそんなメンバー思いのところが何だかんだ好きで…、美味しいねって小さく笑みを向けた。



「おっ、もっと食えそう？」
「ふふ…うん」
「よしっ、んじゃ米だな米。
ねー玉ちゃーん、チャーハン取って」
「あっ、そんなには食べれないよ」
「いいよ、残ったら俺食うし」



食べれるだけ食べなって促してくれる様子に、やっぱり俺も同じように心配をかけてしまっているのかな…なんて思った。



「…藤ヶ谷が、美味しそうにご飯食べてるとこ見てると嬉しい」



…やっぱり、心配させていたんだ。



「…ちゃんと食べてるから。
舞台やってるとどうしても消耗激しくて痩せちゃうけど、ちゃんと食欲あるから」
「んふふ、そっか」
「俺は…お前の方が心配」



そう言うと、北山は目をくりくりさせて驚いた。



「え、そうなの？」
「そうだよ、…すごい痩せたじゃん」
「ふふ、あんがと。
でもこれは役作りで必要だったからさ。
ちゃんとコントロールしてるから体調も落ち着いてるし、終わればまたいっぱい食べるから大丈夫だよ」



本人の口から聞けて、少し安心した。
ただでさえドラマと舞台の掛け持ちなんて頭おかしくなりそうなのに、北山はあまりストレスを外に出さない人だから…体調崩しがちになったりしないだろうかって気にしていたから。

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